2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞壁強化に重点をおいた出土木材の保存処理方法の開発
Project/Area Number |
06J02122
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
片岡 太郎 秋田県立大学, 生物資源科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 保存科学 / 木製遺物の保存処理 / 考古学 / 出土木材 / リグノフェノール / ポリエチレングリコール |
Research Abstract |
本研究は、木材成分由来の誘導体を用いて遺跡より発見される木製遺物(出土木材)を強化することで、軽量でありながら剛性が高くなる保存処理方法を開発することを目的とする。 本年度は、木材リグニンの誘導体であるリグノフェノールを用いて、最大含水率(MMC)が902%または1178%の出土ドロノキ(Populus maximowiczii A.Henry)試料への飽和吸着量を従来法に用いられているポリエチレングリコール4000(PEG4000)のそれと比較した。また、同一試料から調製したMMC1157%の出土ドロノキ試験片をリグノフェノールあるいはPEG4000を用いて保存処理して強度性能および寸法安定性を評価した。 1.吸着特性 試料含水率の違いによらず、溶媒をt-ブチルアルコール(TBA)としたリグノフェノールの飽和吸着量がPEG4000(TBA系および水系)よりも増大した。PEG4000をみた場合、TBA系での飽和吸着量の方が水系よりも多かった。 2.強度特性および寸法安定性 溶質濃度を5%とした場合、水系でPEG4000を用いて処理した試験片の表面硬さ(H)は、溶質無し(TBA系または水系)と大差なかった。一方、TBA系でリグノフェノールまたはPEG4000を用いて処理した試験片のHは、水系のそれに比べてそれぞれ2倍以上高くなった。溶質濃度を10%とした場合、リグノフェノール処理した試験片のHは、水系またはTBA系でPEG4000を用いて処理したそれよりも増大し、最終濃度を20%としてPEG4000(TBA系)処理した試験片のHと同等の値が得られた。また、リグノフェノール処理した試験片の収縮率が3%以内であり、他の条件で処理した試験片の中で最も低い値を示した。
|
Research Products
(2 results)