2006 Fiscal Year Annual Research Report
プラトンの知識論-いわゆる想起説の研究とその現代的意義の検討
Project/Area Number |
06J02174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大草 輝政 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 想起説 / 定義知 / 技術知 / 吟味・論駁 / 対話 / 心身問題 / 知識 / イデア |
Research Abstract |
これまでの研究成果は、プラトン初期から後期対話篇に一貫して「学習とは想起である」といういわゆる「想起説」的モチーフを再確認しつつ、そのモチーフがさらにプラトンのいわゆるイデア論、いわゆる技術知の概念、いわゆる定義知の概念などと相補的であることの確認を進めたことにある。とりわけ、これまで欧米の有力解釈が提示してきた「吟味・論駁」と「対話法」の対立、あるいは「吟味・論駁」と「想起説」の対立、「技術知」と「想起説」の対立といった二項図式に対して、それらへの再検討を促す論点が本研究によって整備されつつあり、成果を順次論文の形で発表する予定である。 本研究遂行にあたっては年次計画に基づき、主要テクストである『メノン』『パイドン』『パイドロス』の他、古典原典による文献学的研究を基礎作業に据え、関連する膨大な文献収集・資料整理を、英国ケンブリッジ大学古典学部における長期所属によっておこなった。 関係学会への参加状況としては、随時開催される英国ケンブリッジ大学でのセミナー・研究会に出席した他、英国ダーラム大学での学会(テーマ:「プラトンとヘシオドス」、7月)、ギリシャアテネポリテクニク大学での研究会(10月)、アメリカ合衆国プリンストン大学における学会(テーマ:「プラトンの倫理学と魂論の諸問題」、12月)の他、チャールズ教授講演会(於:京都大学、3月27日)、古代哲学フォーラム(於:京都大学、3月31日)に参加するとともに、各研究会参加者と意見交換を進めた。また9月25日には、京都大学COEの企画によって英国ケンブリッジ大学で開催された国際シンポジウム(テーマ:"Integrating the Humanities : the Role of Classics and Philosophy")に参加、古代哲学セッションでは司会を務めた。
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