2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
礒島 知也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原子気体 / ボーズ凝縮 / 渦糸 |
Research Abstract |
原子気体で各種量子欠陥を実現するためには、まずその前段階として、凝縮相を実現しなければならない。今年度は、この凝縮相を形成する過程について、ボルツマン方程式などを用いて解析した。特に、京都大学でイッテリビウム原子の2成分原子気体でこの実験が試みられたため、その実験に対応したパラメータを用い、2成分原子気体が蒸発冷却され凝縮相が形成される過程について、解析を行った。 まず、2成分原子気体における凝縮体の最大原子数について、非線形シュレーディンガー方程式を用いて数値的に評価を行った。最大原子数は、単純な理論による推定よりも、成分間の相互作用によってさらに小さくなるという結果が得られた。この結果は、実験データから凝縮体が存在するかどうかを判定する上で重要である。凝縮体が大きく成長することができないので、その存在を直接観測することは本質的に難しいことが明らかになった。 次に、凝縮体を含む原子雲全体のふるまいを理解するため、蒸発冷却過程全体を、量子ボルツマン方程式によって数値的にシミュレーションした。まず、1成分のみの気体では凝縮体が形成できないことを計算上で再確認した。その上で解析を続けた結果、現在の実験ではおそらく凝縮体の成長と崩壊が繰り返されていること、そのふるまいを決める各種定数は各成分の原子数の減少速度から推測できること、直接観測できる量である原子気体の運動量分布についてはより詳細なモデルが必要であることなど、この多成分系の振舞いについて総合的に理解を深めることができた。しかし、現在までに得られた実験データからでは、凝縮体が形成されているかどうかを判断することはできないという結論に達した。
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Research Products
(2 results)