2008 Fiscal Year Annual Research Report
115化合物の純良単結晶育成と圧力誘起超伝導の研究
Project/Area Number |
06J02225
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宍戸 寛明 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重い電子系 / 異方的超伝導 / 人工超格子 |
Research Abstract |
URu_2Si_2は重い電子系の超伝導体の1つであり,古くから盛んに研究されている.URu_2Si_2は17.5K以下において「隠れた秩序」相に相転移する.隠れた秩序の秩序変数は20年以上研究されてきたにもかかわらず未だに明らかになっていない.隠れた秩序相に転移すると磁気抵抗・ホール効果測定からキャリアの大部分が消失し,低キャリアでオープン軌道が無く,かつ電子とホールキャリアが補償した半金属的な状態が実現している,URu_2Si_2の磁気相図はよく調べられており,隠れた秩序状態は36Tの高磁場下で閉じる.我々は残留抵抗比が700にも達する超純良単結晶を用いて,0.1K,27Tの低温・共磁場下の磁気抵抗・ホール効果測定を行った.ホール効果は低温においてH_p=16T以上で減少し始め,H^*=23Tにおいて鋭いジャンプを示す.磁気抵抗はH_p以上でH^2の振る舞いからはずれ,H^*以上で再びH^2の振る舞いに戻る.これは隠れた秩序相の内部に新たな相転移が存在することを示す.また我々は比較的広い磁場範囲でドハース振動を観測した.従来のdHvA効果で報告されていたフェルミ面に加えて,H^*付近以上で新たなフェルミ面を観測した.これは隠れた秩序相の内部に相転移が存在し,フェルミ面の再構成が起こっていることを示している.このような相転移は超純良試料で初めて観測されたこと,2K以上は熱揺らぎにより見えなくなることなどから,バンド毎に独立に隠れた秩序が壊れていると考えられる.このことは隠れた秩序は遍歴的な秩序であることを示唆している.この結果は論文(1)に纏められた.また国内会議(1-3),国際会議(1)で発表を行った.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Possible Phase Transition Deep Inside the Hidden Order Phase of Ultraclean Uru2Si2
Author(s)
H. Shishido, K. Hashimoto, T. Shibauchi, T. Sasaki, H. Oizumi, N. Kobayashi, T. Takamasu, K. Takehana, Y. Imanaka, T. D. Matsuda, Y. Haga, Y. Onuki, Y. Matsudal
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Journal Title
Physical Review Letters 掲載決定
Peer Reviewed
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