2006 Fiscal Year Annual Research Report
重合誘起相分離を利用した新規高分子多孔材料の開発と応用
Project/Area Number |
06J02250
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金森 主祥 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 高分子ゲル / 多孔質体 / リビングラジカル重合 / 溶液重合 / スピノーダル分解 / マクロ孔 / メソ孔 / 分離・触媒担体 |
Research Abstract |
分離・精製用担体や、触媒担体等として利用されるモノリス型(一体型)有機高分子ゲル多孔質体(ポリマーモノリス)は、通常任意の割合で混合したモノマーと架橋剤を、ポロゲンと呼ばれる低分子溶媒中でラジカル重合させることにより得られる。この方法では、ラジカル重合由来の幅広い分子量分布により、局所的に重合度が増大した部分が溶媒から核生成的に析出・沈殿し、粒子状の重合体がランダムに凝集することによって粒子間にマイクロメートルオーダーの「隙間」が形成する。このため、得られる多孔質体の細孔径分布は幅広く、細孔径と細孔容積を独立に制御することは難しい。本研究では、リビングラジカル重合を用いることによって分子量分布と架橋点分布の均質化をはかり、さらにスピノーダル分解を誘起するための相分離誘起剤としてカウンターポリマーを共存させて、整ったマクロ孔と連続したゲル骨格を併せもつ共連続構造多孔体の作製を試みた。 リビングラジカル重合により得られた代表的なポリジビニルベンゼンゲルの微細構造は、連続したゲル骨格と、約2.2μmの中心細孔径を持つマクロ孔で構成されており、スピノーダル分解に特徴的なモルフォロジーを示した。主に相分離剤を増減することで細孔径を制御することができ、溶媒の量を調節することで細孔容積を制御することができた。リビングラジカル重合を用いることで重合体粒子の偏析を抑えることができ、さらに高分子性の相分離剤を導入することで、主に重合体と相分離剤の非相溶性に起因するスピノーダル分解を誘起することができたと考えられる。得られたゲルは、連続した骨格を有するため従来の粒子状多孔体と比べ機械的強度も高く、またゲル化反応終了後はゲル表面に成長末端が残されているため、そのままグラフト化などの表面処理にも利用できる可能性がある。さらに、架橋剤のみから作製したゲルは耐膨潤性が高いと考えられるため、液相を媒体とした様々な反応、分離、吸着用の表面を提供する多孔質デバイスとして幅広く応用可能であると考えられる。
|
Research Products
(5 results)