2007 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類の顔面形態多様化-インコ類にみるそのプロセスと進化機構の解明-
Project/Area Number |
06J02260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土岐田 昌和 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 神経堤細胞 / 中胚葉 / 顎筋 / 結合組織 / アヒル / ウズラ / 異種間キメラ |
Research Abstract |
われわれヒトを含む脊椎動物が地球上で繁栄するにあたり、顎筋をはじめとする摂食装置の形態多様化は必須であったと考えられる。しかし、その多様性創出機構についてはほとんどわかっていない。研究代表者によるこれまでの研究、また両生類や鳥類を用いた先行研究により、神経堤細胞に由来する頭部の結合組織が中胚葉に由来する頭部の筋の形態パターンを制御するという仮説が提唱されていた。顎筋形態の多様化において神経堤細胞が果たす機能を調べるため、摂食様式の違いから形態が大きく異なる顎筋を持つ2種の鳥類、ウズラ(Coturnix coturnix japonica)とアヒル(Anas platyrhynchos)を材料に用い、初期咽頭胚期に2種間で頭部神経堤細胞の交換移植を行った。ウズラをドナー、アヒルをホストにしてキメラ胚を作成し、組織切片の3次元再構築にもとづきその表現型を解析した。結果、キメラ胚の顎筋形状(シェイプ)は3ステージ進んだドナー種コントロール胚のものに類似していた。一方、キメラ胚の顎筋サイズは同ステージにおけるホスト種コントロール胚のそれとほとんど差がなかった。また、キメラ胚では転写因子をコードする遺伝子Tcf4およびScleaxis (Scx)がドナー種での発現プログラムに従い、ホスト種の中胚葉に由来する顎筋に隣接するドナー種の神経堤細胞に由来する結合組織で発現した。本研究により、(1)頭部神経堤細胞は種特異的な発生プログラムに従い頭部の結合組織に分化し、それは組織間相互作用をとおして頭部中胚葉に由来する顎筋の空間パターンまでも調節すること、(2)顎筋のサイズは神経堤細胞以外の細胞系譜によって制御されることがわかった。
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