2006 Fiscal Year Annual Research Report
訪花性昆虫における赤受容型視物質の分光学的・分子進化学的解析
Project/Area Number |
06J02269
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若桑 基博 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 昆虫 / 視物質 |
Research Abstract |
非常に困難であるとされている昆虫視物質の試験管内再構成法を確立することを目的として、アゲハ視物質(PxB, PxL1-3)の培養細胞系での発現を試みた。まず、それぞれの遺伝子の翻訳領域をPCRにより増幅した。この際、発現タンパク質精製のためにC末端にウシロドプシンの単クローン抗体(rho 1D4)のエピトープタグが付加されるようプライマーを設計した。増幅した遺伝子断片は、発現ベクターpcDNA3.1とSRαにそれぞれ組み込み、シークエンス解析により、変異を含まないクローンを選抜した。それぞれの遺伝子を組み込んだ発現ベクターは、リン酸カルシウム法によりHEK293細胞にトランスフェクションし、2日間培養した。培養後、細胞を界面活性剤で溶解し、細胞粗抽出液とした。これに発色団11-cis retinalを加え、視物質として再構成し、吸収スペクトルを測定した。その結果、PxBを発現したものに関しては、非常にわずかながらスペクトルを検出できたが、PxL1-3については視物質由来のスペクトルが観察できなかった。 PxL1-3を発現させた細胞の粗抽出液から視物質由来のスペクトルが検出できなかった原因を確認するために、それぞれの細胞粗抽出液についてrho 1D4抗体を用いたウェスタンブロットを行った。その結果、いずれの視物質も発現していることが確認された。したがって、発現タンパク質の変性により発色団が結合できず、視物質として再構成されていなかったことが示唆された。同様に、PxBも大部分が発色団と結合する前に変性していたと考えられる。現在は、発現タンパク質を発色団といち早く結合させるために、発色団やその類似レチノイド存在下で遺伝子導入後の細胞を培養することや、異なるプロモーターを持つ発現ベクターを用いて発現を行うことを計画している。
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Research Products
(1 results)