2007 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマーカーを用いた野生ワオキツネザルの繁殖戦略の研究
Project/Area Number |
06J02271
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市野 進一郎 Kyoto University, 大学院・理科研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ワオキツネザル / 霊長類 / 繁殖戦略 / 父子判定 / マイクロサテライト / マダガスカル |
Research Abstract |
本研究は、マダガスカルに生息する昼行性原猿であるワオキツネザルの繁殖戦略を明らかにすることを目的としている。調査対象は、マダガスカル共和国ベレンティ保護区内に設定された14.2haの主調査地域に生息するワオキツネザルで、現在は7つの群れが生息している。これらの群れの個体は1989年以降、識別が継続されており、血縁関係、年齢、優劣関係、出自群、群れにおける滞在年数などの詳細な個体情報が利用可能である。本年度はワオキツネザルの交尾期(4月から5月)と出産期(9月から10月)の2回、野外調査をおこなった。4月から5月にかけては交尾行動の観察をおこなった。今年度の観察で得られた結果は、先行研究や研究代表者が1999年と2001年に観察した結果といくつかの点で異なっていた。第1に、メスの発情時期が4月末から5月にかけてで、例年よりも遅かった。第2に、メスの発情時期が群れによって大きく異なっていた。第3に、群れ外オスとの交尾が多く観察された。9月から10月にかけては、出産の確認をおこなった。その結果、出産率は76.5%(26/34)で例年に比べ、低い値ではなかった。しかし、発情日と出産日から算出した平均妊娠期間は141日間(n=6,140-142日間)で、他の年の結果(1998年138.7日間(n=6),1999年137.8日間(n=4),2001年138.9日間(n=9))より2-3日長かった。これらの変異は食物資源の量などの環境要因と関連している可能性がある。来年度以降、幼児死亡率やオスの繁殖成功(DNAマーカーを用いた父子判定)の年による違いとの関連も含めて分析を進める予定である。
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