2006 Fiscal Year Annual Research Report
火山体の磁気と火山噴出物の磁性の研究-磁気岩石学からのアプローチ-
Project/Area Number |
06J02276
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 武士 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 磁気岩石学 / マグネティックペトロロジー / 鉄チタン酸化物 / 雲仙 / 阿蘇 / 諏訪之瀬島 / 火山 / マグマ |
Research Abstract |
磁気岩石学の手法を用いて火山噴出物の磁性を解析し、火山噴出物の成因と火山体の地磁気の成因を明らかにするため、平成18年度は雲仙火山と阿蘇火山にて現地調査・観測・試料採取を行い、その解析を行った。雲仙火山では、最近の歴史3噴火溶岩の解析から、3噴火のマグマ条件・噴火条件の共通点と違いを明らかにした。この成果はすでに月刊地球にて予察的結果を報告済みであり、今後さらに解析を加えて国際誌への投稿を予定している。また平成噴火溶岩の研究では、噴火条件の違いが溶岩ドームの成長様式の違いに影響している様を磁気岩石学的解析から明らかにした。この研究はEPS誌に掲載予定である。またドーム溶岩の酸化反応を明らかにした研究は現在JVGR誌に投稿中である。阿蘇火山では火口を塞ぐ湯溜まりに着目して、熱収支の観点から火山体の磁性の研究を始めている。水・熱・塩化物イオンに関するボックスモデルを構築し、水・熱収支を初めて明らかにした。この研究は火山学会で発表済みであり、今後、学会誌への投稿を予定している。また2005年に試料を採取済みであった諏訪之瀬島火山の噴出物の解析を行い、諏訪之瀬島火山噴出物の特異性を明らかにした。陸上で噴出した溶岩としては異常ほど高いMDFを示し、鉄チタン酸化物斑晶を全く含まない諏訪之瀬島の噴出物は、岩石磁気・古地磁気研究の格好の試料であるだけでなく、噴火システムの特異性も暗示される。これについては今後さらに詳しく解析を行う予定である。
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