2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における染色体異常誘導機序の解析及びCDXとWnt情報伝達経路の機能解析。
Project/Area Number |
06J02279
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 耕史 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Chromosomal instability / Wnt signaling pathway / b-catenin / APC / G2 / M checkpoint |
Research Abstract |
大腸癌発生において最も重要なWnt情報伝達経路の活性化が染色体異常を誘導することを明らかにした(K Aoki et al., Oncogne 2007)。 背景)近年、Wnt情報伝達経路の活性化(末端分子としてb-catenin/TCF複合体が活性化)が90%以上の大腸癌に観察されることやその他の臓器の発癌及び悪性化進行に重要な役割を担うことが示唆されている。問題点)Wnt情報伝達経路の活性化による癌化の機序には、増殖活性を上昇すること以外はよく分かっていない。そこで、b-catenin/TCF複合体の転写活性の腫瘍形成における役割を明らかにすることを目的とした。 結果1)conditional b-catenin変異変異へマウスの腸管に形成される腫癌において染色体分配異常頻度(ABI)を調べたところ、腸管正常細胞に比べて、ABIが有意に上昇していることがわかった。さらに同じ遺伝子型に改変したb-catenin ES細胞でも染色体異常(構造異常)が生じていることが分かった。以上の結果により、b-catenin/TCFの転写活性化が染色体異常を誘導することが示された。 結果2)b-catenin/TCFの転写活性化はG2/M期checkpointによる細胞死を抑制して染色体異常の生じた細胞を生存させた。分子機序としてCdc2の活性の抑制をしていることがわかった。即ち、染色体異常を生じた細胞に対してG2/M checkpointにより誘導される細胞死をb-catenin/TCFの活性化が抑制していると考えられる。 結果3)ヒト腸型胃癌において、b-catenin/TCFの転写活性化と染色体異常の間に正の相関があることがわかった。 胃癌標本(99標本)を用いて解析を行った。胃癌の中の腸型においてはb-catenin/TCFの活性化と染色体異常の間に有意な相関が観察された。即ち、腸型の胃癌において、b-catenin/TCFの転写活性化が染色体異常を誘導することが示された。 結論)以上の解析結果により、b-catenin/TCFの転写活性化が消化器癌の発生及び、悪性化進行において、染色体異常の誘導を介して促進的に働くことが示された。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Chromosomal instability by beta-catenin/TCF transcription in APC or b-catenin mutant cells.2007
Author(s)
Aoki K, Aoki M, Sugai M, Harada N, Miyoshi H, Tsukamoto T, Mizoshita T, Tatematsu M, Seno H, Chiba T, Oshima M, Hsieh CL, Taketo MM
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Journal Title