2007 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における染色体異常誘導機序の解析及びCDXとWnt情報伝達経路の機能解析
Project/Area Number |
06J02279
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 耕史 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Chromosomal instability / Wnt signaling pathway / b-catenin / APC / G2 / M checkpoint / cdx2 / P21 / p27 |
Research Abstract |
Wnt情報伝達経路と染色体異常についての研究(K Aoki, et. al.,Oncogne 2007) 背景)近年、Wnt情報伝達経路の活性化が90%以上の大腸癌に観察されることやその他の臓器の発癌及び悪性化進行に重要な役割を担うことが示唆されている。目的)Wnt情報伝達経路の活性化が染色体異常を誘導するかどうかを調べることを目的とした。結果1)Conditional b-catenin変異マウスの腸管に形成される腫瘍において染色体分配異常頻度(ABI)を調べたところ、腸管正常細胞に比べて、ABIが有意に上昇していることがわかった。さらに同じ遺伝子型に改変したb-catenin ES細胞でも染色体異常(構造異常)が生じていることが分かった。結果2)b-catenin/TCFの転写活性化はG2/M期checkpointによる細胞死を抑制して染色体異常の生じた細胞を生存させた。分子機序としてCdc2の活性の抑制をしていることがわかった。即ち、染色体異常を生じた細胞に対してG2/M checkpointにより誘導される細胞死をb-catenin/TCFの活性化が抑制していると考えられる。結果3)ヒト腸型胃癌において、b-catenin/TCFの転写活性化と染色体異常の間に正の相関があることがわかった。 結論)以上の解析結果により、b-catenin/TCFの転写活性化が消化器癌の発生及び、悪性化進行において、染色体異常の誘導を介して促進的に働くことが示された。本結果は、Oncogeneに2007年に発表した。 CDX2と染色体異常誘導機序の分子レベルでの研究 研究の背景)これまでの解析によりCDX2発現減少による染色体異常が誘導されること、染色体異常の誘導機序の原因の一つとして細胞周期G1/S期移行の促進が関与していることが明らかとなった。染色体異常は多くの癌において観察され、悪性化と相関することが報告されている。最終目標である癌発生及び悪性化の抑制(創薬、治療)を達成するためには、染色体異常誘導機序の分子レベルでのより詳細な解明が必須である。目的)CDX2がG1/S期移行および染色体分配を制御する分子機序を解明することを目的とした。 結果1)CDX2が細胞周期のG1/S移行をcylin依存性キナーゼ抑制因子のp21やp27を介して抑制することがわかった。結果2)CDX2による細胞周期のG1/S移行の抑制はp21やp27を介したCDK2の活性の抑制によることが分かった
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Chromosomal instability by beta-catenin/TCF transcription in APC orb-catenin mutant cells2007
Author(s)
Aoki K, Aoki M, Sugai M, Harada N, Miyoshi H, Tsukamoto T, Mizoshita T, Tatematsu M, Seno H, Chiba T, Oshima M, Hsieh CL, Taketo MM
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Journal Title
Oncogene 26(24)
Pages: 3511-3520
Peer Reviewed
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