2008 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌における染色体異常誘導機序の解析及びCDXとWnt情報伝達経路の機能解析
Project/Area Number |
06J02279
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 耕史 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Chromosomal instability / cdx2 / p27 |
Research Abstract |
研究の背景)これまでの解析によりCDX2発現減少による染色体異常が誘導されること、染色体異常の誘導磯序の原因の一つとして細胞周期G1/S期移行の促進が関与していることが明らかとなった。染色体異常は多くの癌において観察され、悪性化と相関するこが報告されている。最終目標である癌発生及び悪性化の抑制(創薬、治療)を達成するためには、染色体異常誘導機序分子レベルでのより詳細な解明が必須である。目的)CDX2がG1/S期移行および染色体分配を制御する分子機序を解明することを目的とした。 結果1)CDX2が細胞周期のG1/S移行をcylin依存性キナーゼ抑制因子のp27を介して抑制することがわかった。結果2)CDX2を発現するとp27タンパク質が増加してCDK2の活性が低下することがわかった。結果3)CDX2を発現したときのp27タンパク質量の増加は、p27のタンパク質の安定化によることがわかった。結果4)CDX2を発現すると、p27の分解を促進する187番目のスレオニンのリン酸化レベルが、減少することがわかった。即ち、このリン酸化レベルの低下がp27のタンパク質の安定化を誘導していると考えられる。結果5)p27にCDX2が直接結合することがわかった。結果6)p27のスレオニンのリン酸化を、in vitrにおいてCDX2が直接抑制することがわかった。結果7)ひとの大腸がん標本をしらべたところ、CDX2の減少した大腸がんの7割においてp27タンパク質の発現が減少していることがわかった。一方で、CDX2の発現が高い大腸がん標本の役7割においてp27タンパク質の発現が高く維持されていることがわかった。これらの結果により、CDX2の発現減少は、p27タンパク質の不安定かを誘導して、大腸がんの進行(細胞周期や染色体異常)を促進すると考えられる。
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Research Products
(2 results)