2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規近接場分光法による窒化物半導体の輻射・非輻射過程の可視化技術の開発
Project/Area Number |
06J02316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金田 昭男 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / InGaN量子井戸 / 貫通転位 / 発光・非発光中心 |
Research Abstract |
近接場光学顕微鏡(SNOM)と原子間力顕微鏡(AFM)によって、InGaN量子井戸における貫通転位の分布と発光・非発光中心の分布との関係を明らかにすることを目指した。測定に用いた試料は、横方向選択成長(ELO)GaNテンプレート上InGaN量子井戸であり、周期的に転位密度の低い領域と高い領域があるため、一枚の試料で転位密度と発光特性との関係を調べることができる。 青色発光InGaNでは、転位密度の違いによる発光強度差がなかった。さらに、AFMで観測した貫通転位の位置とSNOMで観測した弱発光強度領域との間に相関関係がなかった。青色発光InGaNの特異性に着目し、マルチモードSNOMによって弱発光領域周辺の発光スペクトルを確認すると、キャリア拡散の影響のないイルミネーション・コレクション(I-C)モード測定では、メイン発光ピークの高エネルギー側に発光ピークが観測された。拡散したキャリアの情報も検出するイルミネーション(I)モード測定ではメイン発光ピークのみだった。さらにI-Cモード、Iモード両者の発光マッッピング像に差がなかった。この結果は、井戸内にIn組成揺らぎに起因した大きなポテンシャル揺らぎが存在し、これがキャリアの非発光中心への拡散を妨げ、捕獲確率を低減していることを示唆している。 緑色発光InGaNでは、高転位密度領域に比べ、低転位密度領域の発光強度が大きく、貫通転位の位置と弱発光領域とが対応していた。AFM像より、緑色発光InGaNは紫・青色発光InGaNやELO-GaNテンプレートに比べ、転位密度が1桁高く、量子井戸界面から不整合転位が発生している可能性が示唆される。従って、キャリアの非発光中心への捕獲割合が高く、転位密度の違いによる発光強度差が観測されたと考えられる。
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Research Products
(3 results)