2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規近接場分光法による窒化物半導体の輻射・非輻射過程の可視化技術の開発
Project/Area Number |
06J02316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金田 昭男 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 近接場光学顕微鏡 / マルチモードSNOM / InGaN量子井戸 / 貫通転位 / 非発光中心 / 拡散長 |
Research Abstract |
InGaN量子井戸構造における、微小領域の結晶構造と発光および非発光中心へのキャリア・励起子の捕獲過程の相関関係を、近接場光学顕微鏡(SNOM)を用いたナノ分光法により直接的に明らかにすることを目的としている。 SNOMによる発光マッピング測定と原子間力顕微鏡による表面観察によって、紫色、青色、緑色発光InGaN量子井戸における貫通転位の分布と発光・非発光中心の分布との関係を明らかにした。紫色および緑色発光InGaN量子井戸では、弱発光領域と貫通転位との間に相関関係があるが、青色発光InGaN量子井戸では相関関係がなかった。その原因について明らかにするために、マルチモードSNOM発光マッピング測定を行った。青色発光InGaN量子井戸では、強発光領域と弱発光領域の境界領域にポテンシャルエネルギーの高い領域があることが分かった。I-Cモード、Iモード両者の比較をした結果、発光強度分布はほぼ同じであり、発光中心へのキャリアの拡散長は30nm、非発光中心へのキャリアの拡散長は80nmと非常に短いことも分かった。以上のことから、非発光中心周辺のポテンシャルエネルギーが高くなっている、アンチローカライズの効果によって、非発光中心へのキャリアの拡散が抑制されていることが明らかになった。一方、緑色発光lnGaN量子井戸では、キャリアの拡散影響によって、I-Cモードで見られた島状の発光パターンが、Iモードでは複数の島状構造がつながった形に変化した。さらに、I-Cモードで強発光領域がIモードで弱発光領域に変化している領域が多く見られた。非発光中心への拡散長は数百nm程度あることが分かった。以上の結果から、緑色発光InGaN量子井戸では、キャリアの拡散長が長いため、非発光中心にキャリアが捕らえられやすいことが分かった。この長いキャリアの拡散長は、InGaN特有の内部電界による振動子強度の低下、および、局在発光中心のサイズが非常に小さいことに起因していることも分かった。
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Research Products
(8 results)