2006 Fiscal Year Annual Research Report
巨大クラスターイオン衝撃による極端環境場を利用した超高感度材料分析
Project/Area Number |
06J02328
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二宮 啓 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 質量分析 / クラスター / 二次イオン |
Research Abstract |
近年、半導体材料の極浅深さ方向分析や生体組織そのものの低損傷高感度分析が求められており、そのための手段として複数の原子から構成されるクラスターイオンをプローブとする二次イオン質量分析法(SIMS)が盛んに研究されている。クラスターは従来の単原子イオンと比較して、非常に効率良く二次イオンを生成できると推測されるが、これまでにプローブとして用いられてきたクラスターはサイズが数十原子程度までの比較的小さいものに限られている。またクラスター衝撃による二次イオン収率増加のメカニズムや効率良く二次イオンを発生させるための入射サイズの最適化についてはほとんど研究されていない。本研究では、入射クラスターイオンビームと二次イオンを両者ともパルス化する二段偏向型のパルス化システムを導入した飛行時間型質量分析装置を構築することにより、数100から数1000原子程度の特定サイズの巨大クラスターイオン衝撃によって試料より生成された二次イオンを測定することに成功した。試料には半導体のSi及びアミノ酸、ペプチドなどの生体高分子を用意した。Siでは反応性を有する酸素クラスターイオンを用いることにより、入射エネルギーが数keV程度(1入射原子あたりの平均エネルギーは数eV程度)とかなり低い場合においても十分高い二次イオン収率が得られたことから、半導体表面から深さ数10ナノメートル以下のごく浅い領域に注入された原子の深さ方向分布を測定するのに有効であると考えられる。また生体高分子試料においては入射エネルギーとサイズを最適化することにより、試料が損傷していることを示す分解片イオンの収量を抑制しつつ生体高分子そのものをイオン化することに成功した。これらの結果から入射クラスターイオンのサイズやエネルギーを最適化することは非常に重要であることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)