2006 Fiscal Year Annual Research Report
ABCタンパク質の精製と脂質膜再構成系を用いたHDL形成機構の解明
Project/Area Number |
06J02333
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森田 真也 神戸薬科大学, 薬学部, 助手
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Keywords | MDR2 (ABCB4) / タウロコール酸 / ホスファチジルコリン / コレステロール / HEK293細胞 / ABCトランスポーター / 胆汁酸 / モノマー |
Research Abstract |
ヒトMDR2 (ABCB4)は、肝臓の毛細胆管膜に発現しており、MDR2の変異は深刻な肝疾患となることが報告されている。Mdr2ノックアウトマウスを用いた研究より、マウスMdr2やヒトMDR2は胆汁中へのホスファチジルコリン(PC)の分泌に関わっていると考えられているが、細胞レベルでの機能はまだ詳細に調べられていない。そこで本研究では、ヒトMDR2を安定発現させたHEK293 (HEK/MDR2)細胞を用いて、MDR2によるリン脂質およびコレステロールの排出について検討を行った。しかし、MDR2の発現に依存したリン脂質やコレステロールの細胞からの排出は見られなかった。毛細胆管中には肝細胞から排出された胆汁酸が存在し、胆汁酸はリン脂質やコレステロールと混合ミセルを形成している。そこで、細胞からの脂質排出に対する胆汁酸の影響について調べた。MDR2によるリン脂質の排出は、培地中にタウロコール酸が存在することで生じた。また、タウロコール酸の存在下でコレステロールもMDR2により排出された。光散乱測定より、cmc以下のモノマーのタウロコール酸が、MDR2によるリン脂質とコレステロールの排出を誘導していることが示唆された。しかし、HEK/MDR1細胞では、このようなタウロコール酸依存的なリン脂質とコレステロールの排出は見られなかった。MDR2のATP結合ドメインの変異体を用いた実験より、MDR2によるリン脂質とコレステロールの排出には、ATP加水分解が必要であることが示された。質量分析により、タウロコール酸存在下でMDR2はスフィンゴミエリンよりもPCを優先的に排出していることが判明した。以上のことから、MDR2は、胆汁酸存在下で、肝細胞から毛細胆管中へのPCとコレステロールの排出を行う。それにより、MDR2は、胆汁形成ならびに脂質恒常性維持において重要な役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(2 results)