2009 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖球菌のグリコサミノグリカン分解系の構造生物学的解析と細胞侵入・感染機構の解明
Project/Area Number |
06J02354
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 如江 (直井 如江) Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | グリコサミノグリカン / 連鎖球菌 / 多糖リアーゼ / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
本研究課題では、病原性連鎖球菌における宿主細胞外マトリクス(グリコサミノグリカン:GAG)の分解に関わる酵素系の構造と機能を解析することにより、本菌の宿主細胞への侵入・感染機構を明らかにすることを目的としている。GAGの一種であるコンドロイチンはグルクロン酸とN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)から成る二糖を最少単位とする高分子多糖であるが、硫酸基の付加を受けて多様な形態をとる。これまでに、連鎖球菌由来GAG分解酵素UGL(不飽和グルクロニルヒドロラーゼ)が、GalNAcの6位が硫酸化された不飽和コンドロイチン二糖(d6S)に対して高い基質特異性を示すこと、また、4位が硫酸化された不飽和コンドロイチン二糖(d4S)にも作用することを明らかにした。ヒトのコンドロイチンは硫酸化の割合が高いため、このような硫酸化GAGに対する基質特異性と連鎖球菌の病原性との関係が示唆される。今年度は、連鎖球菌(S.agalactiae)UGL(SagUGL)の硫酸基認識機構を明らかにするため、その立体構造に基づいてSer368とLys370の部位特異的変異体(S368G、K370A、S368G/K370A)を作製し、速度パラメーターを決定した。いずれも基質d6Sに対するKm値が上昇したため、これらの残基が連鎖球菌UGLのd6Sに対する基質特異性に関与していると考えられた。本結果は、d6Sに作用し難いBacillus属細菌由来UGL(bUGL)ではこれらの残基が保存されていないことからも妥当であると判断される。また、d4Sへの結合・分解にはSagUGLのArg236が重要であることを示してきたが、bUGLの相当する残基His210を連鎖球菌型(Arg)に置換することにより、bUGL(H210R)が本来基質としないd4Sを分解するようになることも見出した。
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Research Products
(4 results)