2006 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖球菌のグリコサミノグリカン分解系の構造生物学的解析と細胞侵入・感染機構の解明
Project/Area Number |
06J02354
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 如江 (直井 如江) 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | グリコサミノグリカン / X線結晶構造解析 / 多糖リアーゼ / 連鎖球菌 |
Research Abstract |
本研究課題では、病原性連鎖球菌の宿主細胞外マトリクス(グリコサミノグリカン)分解酵素群[多糖リアーゼおよび不飽和グルクロニルヒドロラーゼ(UGL)]に着目し、本菌の宿主細胞外マトリクス分解機構を各酵素の高次構造と機能の両面から明らかにすることを主目的としている。本年度に得られた結果は以下の通りである。 (1)キサンタンリアーゼの基質認識機構 細菌多糖キサンタンは、主鎖セロビオースに側鎖(マンノース、グルクロン酸、マンノース)が付加された構造をしている。側鎖非還元末端のマンノースの一部はピルビン酸化されている。バチラス属細菌GL1株のキサンタンリアーゼは、多糖リアーゼファミリー8に属し、キサンタンからピルビン酸化マンノースを遊離する酵素である。本年度の研究において、キサンタンリアーゼのピルビン酸特異的な認識機構を、X線結晶構造解析と部位特異的変異解析を用いて明らかにした。本酵素はサブサイト-1において基質を強く認識すること、並びに、その認識にはArg612の側鎖と該アミノ酸残基の位置するループの構造が重要であることを見出した。得られた知見は、同じ多糖リアーゼファミリー8に属する連鎖球菌ヒアルロン酸リアーゼにも応用できるため、阻害剤の開発に役立つと期待できる。 (2)UGLの立体構造解析および変異解析 大腸菌大量発現系を用いて連鎖球菌UGLの発現、精製、および結晶化を行い、本酵素の立体構造を決定した。立体構造に基づいて作製した変異体D115NとD175Nが活性を失ったことから、Asp115とAsp175が触媒残基であることが示唆された。また、本酵素は硫酸化コンドロイチンをも基質とすることを見出した。ヒトのコンドロイチンは硫酸化の割合が高いため、この連鎖球菌UGLの酵素学的性質と本菌のヒトへの感染力との相関が示唆される。
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Research Products
(4 results)