2006 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカにおけるものづくりの地域間比較研究:地縁技術の習得・実践・創造
Project/Area Number |
06J02393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 守恵 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アフリカ / ものづくり / 地縁技術 / 女性 / 職人 / 習得 / 実践 / 創造 |
Research Abstract |
本研究では、アフリカの各地域で現在もおこなわれているものづくりを、モノを介した人と素材、人と人との諸関係に応じて成立する「地縁技術」ととらえ、その見方にたって土器づくりの地域間比較やものづくりの比較可能性について検討することをめざしている。そして、ものづくりの地域間比較をおこなう過程で「地縁技術」を精緻化し、アフリカの人々によって実践されているものづくりをとらえるあらたな見方として問題提起していくことをめざしている。 初年度は、エチオピア西南部アリの男性鍛治職人について基礎的な調査をおこない、土器づくりと鍛治仕事を比較研究する可能性について検討することをめざした。また、地縁技術としてのアリの土器づくりの特質と地域間比較の可能性について考察を深め、論文として発表することをめざした。現地調査では、アリの男性鍛治職人による生計活動としての鍛治仕事、鍛治仕事の技法的な特徴、そして男性職人の婚姻関係など社会関係について基礎的な調査をおこなった。ものづくりにたずさわる人びとが取り結ぶ社会関係とものづくりの技術、生計活動と技術の実践と変化などに留意して、土器づくりと鍛治仕事を比較研究する可能性について検討した。11月におこなわれた国際シンポジウムでは、60種類にもおよぶ土器の形態やサイズ、それらの入手経緯などに着目し、作り手と使い手の社会的な関係が契機になって、多種多様な土器の形態・サイズや土器づくりの技術が変化、創造されている過程について発表した。また『アジア・アフリカ地域研究』において、アリ女性土器職人が生業活動を営んでいく際に、夫や子ども、親族、そして客との社会的な関わりながら土器づくりの技法を実践、変化していく点に注目し、生業としての土器づくりの特質について発表した。そのなかで、手指の動かし方などの身体技法を手がかりにした土器づくりの地域間比較の可能性について考察した。
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Research Products
(2 results)