2006 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起パターンの多様性を生み出す細胞膜供給機構と新規分子の機能解析
Project/Area Number |
06J02414
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪内 朝子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ショウジョウバエ / 樹状突起 / ミトコンドリア / PNS |
Research Abstract |
採用第一年目であるこの1年間で、私自身が行ったスクリーニングから得られた候補遺伝子の機能解析や樹状突起パターンに与える影響について詳しい解析を行った。 私はこれまでに、ミトコンドリア局在分子(preli-like/CG8806)の過剰発現により、ClassIVタイプの樹状突起の受容野が著しく狭くなり、突起伸長が抑制されることを見いだしていた。 しかしながらpreli-like/CG8806遺伝子の機能喪失変異体がこれまでのところ存在しなかったため、私はトランスポゾンのジャンプアウトによって機能喪失変異体を作製した。この機能喪失変異体は、幼虫期の初期段階で致死であったため、MARCM法(Mosaic Analysis with a Repressible Cell Marker)を用いて幼虫期後期の樹状突起を観察した。その結果、野生型と比較して、全突起の長さが減少し、突起が単純化した。また観察した半数の細胞において、樹状突起が途中で切断される表現型が観察された。このような表現型はCiassIVタイプであるddaC神経細胞でのみ観察され、その他のクラスでは観察されなかった。さらに、ミトコンドリアマーカーであるmitoGFPを用いてミトコンドリアを可視化したところ、ddaC神経細胞では樹状突起に分布するミトコンドリアのシグナルが極端に減少した。このことから、preli-like/CG8806遺伝子は、クラス特異的にミトコンドリアの分布に影響を与える遺伝子であることが示唆される。現在preli/CG8806変異細胞で見られる樹状突起の切断とミトコンドリアの局在及び活性との関係性について、さらなる解析を行っている。 昨年preli-like/CG8806遺伝子の酵母ホモログUps1がMgm1(ヒトOPA1:0ptic Atrophy 1)のプロセシングに関与し、ミトコンドリアの融合に影響を与えることが報告された(JCB, Vo1175,651-658),2006)。ヒトOPA1(Optic Atrophy 1)は視神経形成異常となる神経変性疾患の原因遺伝子であるが、その神経細胞における機能については不明な点が多い。そこで、私はショウジョウバエ培養細胞を用いて、ショウジョウバエOPA1ホモログopa1-likeのプロセシングにpreli-like/CG8806が影響を与えるかどうか解析を行っている。さらには、preli-like/CG8806の神経系における機能を解析するために、ショウジョウバエの視神経を用いた解析の準備も行っている。
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