2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起パターンの多様性を生み出す細胞膜供給機構と新規分子の機能解析
Project/Area Number |
06J02414
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坪内 朝子 Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ショウジョウバエ / 樹状突起 / ミトコンドリア / 末梢神経 / 神経変性 |
Research Abstract |
樹状突起の受容野のサイズあるいは分岐の複雑度等を調節する遺伝子を探索する目的で、ショウジョウバエのdendritic arborization(da)neuronをモデル系とした網羅的な異所あるいは過剰発現メクリーニングを行った。3000系統を用いたスクリーニングを行い、その中でミトコンドリアに局在する分子Preliに注目した。Preli(protein of relevant evolutionary and lymphoid interest)は進化的に高度に保存されたミトコンドリアに局在するタンパク質であるが、その機能はほとんどわかっていない。まずPreliの分子機構を明ちかにするために、ショウジョウバエの培養細胞を用い、ショウジョウバエPreliがミトコンドリアに局在することを光学または免疫電子顕微鏡で確認した。また、preli遺伝子を発現抑制すると、ミトコンドリアの断片化、ミトコンドリアの膜電位の低下、さらにATP産生の低下が観察された。透過型電子顕微鏡を用いた実験から、preli遺伝子発現を抑制した細胞では、ミトコンドリア内のクリステ構造の崩壊が観察された。da neuronにおけるpreli遺伝子の機能を調べるために、まずpreli機能喪失突然変異体を樹立した。preli遺伝子の機能喪失で、樹状突起パターンは著しく単純化した。また、樹状突起や軸索に分布するミトコンドリアが大幅に減少し、細胞体内では断片化したミトコンドリアが観察された。Preli機能喪失による樹状突起形成異常の表現型は、ショウジョウバエBelファミリーに属するanti-apoptotic分子であるBuffyの発現によって回復した。以上の実験結果から、Preliタンパク質はミトコンドリアの機能維持に積極的に働きかけ、正常な樹状突起形成に重要な役割を果たすと考えられた。さらに、興味深いことに幼虫期のpreli機能喪失細胞では樹状突起の太い枝がその付け根付近で切断され、また成虫期には、晩発性(late-onset)の樹状突起の縮退が観察された。以上の発見はPreliタンパク質が、特定のクラスのニューロンにおいて樹状突起形成だけでなく、樹状突起パターンの維持や樹状突起の縮退・変性を抑制する役割を担う可能性を強く示唆している。
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Research Products
(2 results)