2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国古代の民衆支配の法理念-法制用語における「亡」の概念を中心として-
Project/Area Number |
06J02449
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 季子 (保科 季子) Kyoto University, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国 / 古代 / 支配理念 / 戸籍制度 |
Research Abstract |
本年度8月1日より、出産・育児のため日本学術振興会特別研究員(PD)を中断する。本年度の研究活動は、単に昨年度からの研究を継続するだけではなく、中断を終えて研究を再開するにあたり、速やかに研究活動に入れるよう準備する必要があった。5月に東方学会参加するために東京に出張し、その機会を利用して関東在住の研究協力者たちに中断する旨を周知し、研究再開を円滑に行えるよう、協力を要請し、当面出張が困難となることを見越して、資料調査を行った。さらに、収集した資料を再開後に混乱なく活用できるよう、資料の整理・分類等には特に注意を払った。『歴史評論』699号は中国古代史研究の学界展望の特集号だが、その中に拙稿「近年における「儒教の国教化」論争について」を掲載した。日本史や西洋史の読者が多い雑誌において、中国古代の支配理念の問題に関して、研究の現状を紹介でき、同時に、中断前に研究動向を俯瞰できたことは極めて有意義であった。当初の予定では、昨年口頭発表した「秦漢時代における名数と自占」を学術論文としてまとめ、秦漢時代の戸籍制度を、戸籍の移動という観点から、戸籍を基盤とした秦漢時代の支配のあり方を考察し、とくに「亡」「亡人」の問題について新たな知見を得て、学術誌に投稿するつもりで準備していた。ところが執筆中に韓国・中国古中世史学会の学術討論会「古代中国の公・私文書流通と帝国秩序」の配布資料を入手することができたところ、最近、大陸の王子今氏らによって、「亡人」「亡」といった問題が注目され、新たな研究が発表されていることを知った。それらの新しい研究を全て入手するのは時間的に困難であり、この時期に拙速に論文を発表すべきではないと考え、論文の完成、投稿は研究再開後に持ち越すこととした。
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Research Products
(1 results)