2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国古代の民衆支配の法理念-法制用語における「亡」の概念を中心として-
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06J02449
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 季子 (保科 季子) Kyoto University, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国古代 / 秦漢 / 支配理念 / 戸籍 |
Research Abstract |
平成21年11月3日には東洋史研究会大会において、「秦漢時代における名数の移転について」というタイトルで口頭発表を行った。出土法律文献をもとに、戸籍の移動に関する規定や実際の手続きを復元し、そこから秦漢時代の戸籍管理のありかたに迫った。中国古代社会において、戸籍は一元的な民衆支配の基盤であり、戸籍管理という側面から、中国古代の支配理念について考察した。近年新出土の法律文献より見るに、国家は厳格な法によって戸籍を管理し、住居を移す等の理由で戸籍を移動するためには煩瑣な手続きが必要であったことがわかる。その一方で、『史記』等の歴史書の記載からは、法規定どおりとは考えられない抜け道も存在したことが読み取れる。この大会で報告した研究は、論文にまとめて学術誌『東洋史研究』への掲載するよう依頼されているため、現在執筆中である。翻訳謝金を支出して、以前学術誌『東方学』に掲載した論文、保科季子「漢代の女性秩序--命婦制度淵源考察」を中国語への訳出を行った。この論文は、居延漢簡の臘賜の記録を元に、下級官吏クラスに到る国家からの賜与の実態と、その賜与における女性たち(官吏の妻)の役割を明らかにすることで、中国古代における女性への支配について考察したものであり、中国古代の支配理念の解明を目指す今回のテーマと強くリンクしており、この論文を海外に紹介することは大きな意義があると思われる。現在原稿はほぼ完成しているものの、掲載先を検討中である。
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Research Products
(2 results)