2006 Fiscal Year Annual Research Report
空海と中国思想の関係に関する研究-三教交渉論及び不空教団との関係を中心に
Project/Area Number |
06J02456
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 淳 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 空海 / 日本華厳 / 真理観 |
Research Abstract |
空海の真理観は『十住心論』において華厳教学との差異を明確にしていく際に統一的に組織化されたことを明らかにし、それをまとめる形で「空海の真理観-奈良・平安初期日本華厳教学との対比から-」として2006年9月に東京大学で行われた東京大学インド哲学仏教学研究室研究例会において発表した。また空海の真理観の三つの軸の一つである真理の遍満と密接な関係にある『華厳経』(六十巻本)の入法界品の読解を行った。 さらに空海の重要な思想背景となっている三教交渉について、道教碑文や『文選』の読解を通じて、調査を行った。その成果は下記の来年度刊行の著作に反映される予定である。 また従来空海独自のものとされていた「加持」という用語を感応に分ける理解を確認するため、中国三論宗の吉蔵の『大乗玄論』における感応に関連する箇所を諸注釈を併せながら訳注読解した。この成果は将来的に公開する予定である。 不空三蔵とともに中国の四大訳経僧に数えられる真諦(パラマールタ)三蔵の著した『部執論疏』の逸文を訳注読解した。この成果は将来的に公開する予定である。そこではインド仏教における部派分裂の実情・真諦三蔵の著作の伝播形態の実態を調査することで、中国におけるインド起源の漢訳仏典の実情を把握した。 また空海の思想的展開に関連する論文を読解し、今までの研究調査を補訂した。その成果は来年度、『空海の思想的展開の研究』としてトランスビュー社から刊行される予定(2008年2月)である。
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