2007 Fiscal Year Annual Research Report
Nanog-GFP細胞を用いた脱分化誘導因子と成体にひそむ多能性細胞の探索
Project/Area Number |
06J02465
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沖田 圭介 Kyoto University, 再生医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 誘導多能性幹細胞 / iPS細胞 / Fbx15 / Nanog |
Research Abstract |
難治性疾患の患者本人の体細胞から多能性幹細胞を作り出すことが出来れば、再生医療や細胞移植療法を行なう上で免疫拒絶のない理想的な細胞となる。2006年に当研究室ではFbx15レポーターを持つ線維芽細胞に、4つの遺伝子(Oct3/4,Sox2、Klf4およびc-Myc)を導入することによって、ES細胞様の誘導多能性幹(inducible pluripotent stem,iPS)細胞を作成することに成功した(Cell.126,663-676,2006)。しかしながら、Fbx15-iPs細胞はES細胞に近い性質を示すものの、様々な違いが認められていた。 そこで本研究課題では、より未分化細胞に特異的であり、機能的にもES細胞の分化多能性に深く関わっているNanogをレポーターとして用いて検討を行なってきた。Nanogレポーターマウスの胎仔線維芽細胞より得たNanog-iPS細胞はNanog、ERasやEsg1などの遺伝子発現がES細胞と同等に認められた。また、マイクロアレイを用いて網羅的に遺伝子発現を解析すると、約90%の遺伝子がES細胞と同様の発現を示した。さらに初期胚に移植したところ、複数のクローンよりキメラマウスが誕生した。このうち一部のキメラマウスからは子孫も産まれてきており、Nanog-iPS細胞はES細胞に相当する分化能力も有していると考えられた。ところが、その後キメラマウスとその子孫の約20%に腫瘍ができることが判明した。Nanog-iPS細胞のゲノムには作成段階で用いたレトロウイルスによって、原癌遺伝子であるc-Mycを含む4つの外来遺伝子が10コピー以上も挿入されていた。さまざまな部位に発生した腫瘍でレトロウイルス由来のc-Mycが再活性化しており、これが腫瘍形成の一因だと考えられた。今後はより安全性の高いiPS細胞の樹立方法について検討を重ねてゆく予定である。
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Research Products
(16 results)