2008 Fiscal Year Annual Research Report
計算機シミュレーションによる地球放射線帯高エネルギー電子加速過程の研究
Project/Area Number |
06J02474
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 雄人 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 放射線帯 / 計算機実験 / 波動粒子相互作用 / 電子加速過程 / ホイッスラーモード |
Research Abstract |
放射線帯外帯における相対論的高エネルギー電子の加速機構、及びその加速機構において重要な役割を担うとされるプラズマ波動、ホイスラーモード・コーラス放射の励起プロセスの双方で、波動による電子の捕捉という非線形波動粒子相互作用の重要性が指摘されている。互いの物理プロセスの深い関連性が示唆されるこの2つの研究課題に対し、独自に開発を行っている電子ハイブリッドモデルを用いたシミュレーションを実施、その素過程を議論した。 本年度は、昨年度に引き続き、地球内部磁気圏の磁気赤道周辺領域を模擬した1次元の電子ハイブリッドシミュレーションを実施した。磁気赤道領域を起源とするホイスラーモード・コーラス放射の生成過程を再現するシミュレーション中では、生成されたコーラスエレメントとの相互作用による、相対論的な電子が加速される様相も同時に再現されている。シミュレーション結果の詳細な解析により、一部の相対論的電子は波動による捕捉という非線形効果により高効率に加速されること、それら被加速電子の運動はRelativistic Turning Acceleration過程およびUltra-Relativistic Acceleration過程と呼ばれる特徴的な軌道をとることが明らかとなった。この成果は学術論文として公表し、国内外の学会・研究会で報告した。 コーラス放射と高エネルギー電子との相互作用は、惑星磁気圏の赤道領域で生起する普遍的な現象であると考えられる。その検証を目的として、昨年度に引き続き木星磁気圏中でのGalileo探査機による波動観測結果及び粒子観測結果の解析を行った。さらに土星磁気圏中でのCassini探査機によるコーラス放射観測結果についても、米国及び欧州の研究者との共同研究を開始し、コーラス放射の生成過程に関する理論の普遍性を示唆する初期結果を得ており、学術論文として投稿した。
|
Research Products
(14 results)