2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02484
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊福 伸介 京都大学, 生存圏研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース / ナノファイバー / ミクロフィブリル / アセチル化 / 複合材料 / 透明 |
Research Abstract |
本研究ではフレキシブル透明基板材料をより高付加価値な機能性材料へと変換し、エレクトロニクスデバイスとしての実用化を目的としている。初年度は年次計画に基づいて化学修飾による透明材料の基本性能の向上について検討を行った。その結果、ナノファイバー表面のアシル化による表面改質がフレキシブル透明基板の様々な物性向上に有効であることを見いだした。すなわち、1)ナノファイバー表面の疎水化により、透明基板の吸湿率を1.5%から汎用樹脂と同等の0.5%以下に低下させることに成功した。基板の吸湿は寸法変化の要因となるため、エレクトロニクス基板として指向する場合、膨張に伴う画像のゆがみや、実装プロセスにおける基板の剥離を招いてしまう。よって、吸湿の改善は非常に重要な課題であった。2)アシル化によってナノファイバーの屈折率を制御しうることを見いだし、その結果、基板の透明性(直線透過率)を78.2%から、87.8%に向上させることに成功した。驚くべきことに、この基板は約半分がナノファイバーであるにも関わらず、樹脂単体の透明性と比較して3%しか低下していない。当然のことながら、透明性の向上は基板のフレキシブルディスプレイとしての用途展開において非常に重要である。3)表面のアシル化はナノファイバーを剛直にすると考えられ、その結果、透明基板の熱膨張率を10ppm/Kからわずか4ppm/Kまで低下させることに成功した。熱による膨張の抑制は上述のように、吸湿性の向上と同様に重要な課題である。これらの物性向上は、いずれも透明基板材料をエレクトロニクスデバイスとしての実用化にあたって非常に重要な結果であると考えられる。また、これら一連の結果は、現在、論文としてまとめ著名な雑誌に投稿中である。
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Research Products
(1 results)