2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02496
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安倍 博之 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超重力理論 / 超弦理論 / フラックス / コンパクト化 / 超対称性の破れ / 電弱対称性の破れ / 暗黒物質 |
Research Abstract |
超弦理論のフラックスコンパクト化において、前年度解析した「ゼロ真空エネルギーでのモジュラス場の固定」と「低いスケールの超対称性の自発的破れ」を同時に実現可能な真空に関して、今年度はより現象論的な立場から研究を行いました。まず、微調整無しに現実的な電弱対称性の破れを導くような超対称標準理論のゲージフェルミオン質量比を、低エネルギー有効理論の立場から解析的及び数値的手法を相補的に用いて同定し、これを基に現象論的に望ましい開弦フラックスの構造を提案しました。そのような微調整の少ない構造を保ったままで、さらに宇宙論的観測と無矛盾な暗黒物質の熱的残留密度を得られるパラメター領域を同定して、そこでの暗黒物質探索可能性について調べました。また、超対称性を自発的に破るセクターとモジュラス場のより一般的な結合を導入した場合でも、真空エネルギーと超対称性の破れの構造を明らかにしました。一方で、超弦理論の強結合領域と関係のある5次元超重力理論の現象論的性質についても研究を行いました。前年度考案した質量殻外での次元縮減法を応用して、曲率フラックスや軌道体固定点上のポテンシャルを含む、より一般的な場合の4次元有効理論を導出して、フラックスや固定点の効果がモジュラス場のポテンシャルエネルギーに与える影響について解析を行いました。ここではコンピュータによる代数・数値計算に基づいた多変量解析も行い、有効理論の真空エネルギーと超対称性の破れの構造を解明しました。これらの結果は、将来の実験・観測による超重力・超弦理論の検証において重要な役割を担うと考えています。また、理論的側面では、有効的超重力理論において、ゼロエネルギーで超対称性が自発的に破れる真空の安定性条件を、R対称性の観点から一般的に導出し、そのような条件が共系ダイナミクスによって力学的に実現されるような模型を提案しました。
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Research Products
(11 results)