2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02496
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安倍 博之 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超重力理論 / 超弦理論 / コンパクト化 / 有効理論 / 超対称性の破れ / 超対称粒子の性質 / インフレーション |
Research Abstract |
高次元超重力理論・超弦理論のコンパクト化における、背景フラックス及び非摂動効果によるモジュライ場の固定と超対称性の破れに関して、前年度までに行った一般的解析から得られた様々な結果をもとに、今年度はゲージ化や背景フラックス、そしてDブレーンやオービフォルド固定点の構造が低エネルギー有効理論にどのような影響を及ぼすのか、また逆に、低エネルギー側で様々な観測量をうまく再現するような高エネルギー側の構造はどうあるべきなのかを具体的な模型で調べました。まず、超対称性の破れのセクターが波動関数の局在化の効果で標準理論のセクターから力学的に隔離されるような高次元超重力理論のコンパクト化の具体的模型を構築し、そこへ前年度提案した非摂動的モジュライ固定とゼロ真空エネルギーでの超対称性の破れを引き起こす機構を応用した場合に、超対称粒子の結合定数やスペクトラムの導出を行いました。また、これとは別に背景磁場が存在する余剰次元の模型も解析し、そこにオービフォルド射影を導入することで、より現実的な世代数やヒッグス粒子数が再現可能であることを示しました。この模型は磁場を持つDブレーン系の有効理論の1つとも見なすことができ、これは超弦理論から標準理論を導出する試みにおいて重要な役割を担っている交差Dブレーン系と双対関係にあります。さらに宇宙論的側面では、モジュライ混合をもつ非摂動効果でモジュライ固定がなされている場合にモジュライ・インフレーション模型を適用した際、Dブレーンの背景磁場や巻き付き数の間に特定の関係がある場合には、これまでこのような枠組みではほとんど不可能であると考えられていた高いインフレーションスケールも実現可能であることを示しました。これらの結果は、今後のより現実的な模型構築や、将来の実験・観測による超重力・超弦理論の検証において重要な役割を担うと考えています。
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Research Products
(6 results)