2006 Fiscal Year Annual Research Report
レヴィ過程を用いたファイナンス・モデルの分析のための統計的手法の開発
Project/Area Number |
06J02628
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
末石 直也 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Leve process / Quasi-likelihood estimation / Stable distribution / Characteristic function |
Research Abstract |
レヴィ過程と呼ばれる確率過程の特性関数を用いた推定方法について考察した。レヴィ過程あるいはそれに対応する無限分解可能分布は一般に密度関数を明示的に求められないため、最尤法を用いることができないという問題点がある。これに対して、本研究では、スコア関数をコサイン・サイン関数が張る関数空間へ射影することによって得られる擬似スコア関数を用いた擬似尤度法による推定を提案し、推定量の性質について分析を行った。具体的な研究成果は以下のとおりである。 第一に、無限分解可能分布の一種である安定分布のパラメータの推定に関する研究を行った。推定量の漸近的性質を分析し、スコア関数を射影するコサイン・サイン関数のベクトルの次元を増やしていくことによって、推定量の漸近分散は任意の精度でCramer-Raoの下限に近づけられることを示した。また、スコア法と呼ばれる簡便なアルゴリズムによる計算方法を示した。これらの研究成果については、中国の清華大学で開催されたEconometric Society主催のFar Eastern Meetingなどにおいて報告を行った。 第二に、データ生成過程としてVariance gamma過程とNormal inverse Gaussian過程を用いて、モンテ・カルロ・シミュレーションによる比較研究を行った。Empirical likelihood法、C-GMM法と、本研究で提案した擬似尤度法を比較した。これら3つの推定量の1次の漸近的性質は同じであると考えられるが、採用したシミュレーション・デザインのもとでは、擬似尤度法は他の2つに比べて計算量を大幅に減らすことが可能であるとともに、効率性の観点からも優れた性質を示した。
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