2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02662
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 彩子 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | DNA / リン脂質 / リポソーム / 細胞モデル / 自己組織化 / 液滴 / 自発運動 / 微小空間効果 |
Research Abstract |
本年度は、モデル細胞系の構築を主眼に置き、研究を行った。細胞は主にリン脂質二重膜から成る細胞膜を有し、直径数μmから数100μm程度の閉じた空間である。この微小な空間内で起こる生化学反応は、通常行われる試験管内でのものとは性質が異なり、膜との相互作用も無視できなくなる。細胞を模倣した空間内で、DNAを含む種々の生体分子の挙動を明らかにすることは、これまでの試験管レベルでの実験では見えてこなかった、生命現象の鍵となる重要な知見を得る上で重要だと考えられる。本年度の研究においては、細胞サイズのリポソームの新たな作製法の開発にあたった。その際、リン脂質を溶かした油相中に分散させたμmサイズの水溶液滴からリポソームを得るという手法を取った。この油中水滴は、界面をリン脂質で覆われているため、その内部は細胞模倣環境と言える。我々は、油中水滴が生化学反応の微小反応場として簡便であることを示し、また油中水滴からリポソームを得るための手法を開発した。これらの成果を3報の論文としてまとめ、Chem.Phys.Lett.誌、Langmuir誌(2報)に発表した。本手法は、これまでの手法と比較して様々な利点があるため、新たなモデル細胞系構築のための礎となると考えている。本年度中、延べ4ヶ月に亘りフランス高等師範学校で共同実験を行った他、国際学会‘XX Sitges Conference on Statistical Mechanics'、サマースクール‘DNA and Chromosome 2006'、‘DPG Physics School 2006'、及び国内学会「日本物理学会第62回年次大会」に参加し、発表を行った。また、ミュンヘン工科大学の田中求教授の研究室に招かれ、実験のデモンストレーションと研究室内セミナーでの発表を行った。
|
Research Products
(3 results)