2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02666
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
當真 賢二 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガンマ線バースト / 宇宙ジェット / 偏光 |
Research Abstract |
ガンマ線バーストは100億光年先という宇宙の果てで起こる、全字宙で最も明るい爆発現象である。その起源は30年来明らかでなく、字宙物理学における最大の謎となっている。観測されるガンマ線は、なんらかの中心天体から噴き出したジェットから生じると考えられており、中心天体は直接観測できない。本研究の目的はその中心天体が何かという謎に迫るために、観測できるジェットの放射領域の物理状態に制限をつけていくことである。本年度はまず研究実施計画に沿って、最近のSwift衛星が明らかにし始めたガンマ線バーストの早期x線残光を説明するために必要な我々の非一様ジェットモデルの条件を導いた(研究発表論文1、2)。この研究によって非一様ジェットモデルではガンマ線の放射効率がいままでの予想より高い必要があることがわかった。この研究と並行して私の研究グループ内で早期X線残光に対する他のジェットモデルを模索し、高いガンマ線放射効率が必要でないモデルの提案も行なった(研究発表論文3)。またSwift衛星の観測チームと共同して観測結果の理論的解釈も行なった(研究発表論文4)。さらにSwift衛星で見つかった低光度ガンマ線バーストなる新種族に対し、通常のジェットモデルが適用できるということを示した(研究発表論文5)。以上のように私はいままでの我々の理論モデルに固執することなく、広い見地に立って観測結果を説明するようなジェットモデルを精力的に提案することができた。どの発表論文もすでに数件引用されている。また国際会議でも発表し、海外の研究者と活発な議論を行なった。広島大学で行なわれた「多波長・多モード連携観測で探る高エネルギー天体現象」という研究会においては招待講師としてガンマ線バーストの理論モデルのレヴュー講演を行なった。そこではいま新たに計画している残光での偏光輸送計算についても紹介し、多々質問を受けた。来年度はその計算を実行し、ジェットモデルにさらに深い物理的制限を加えていきたいと考えている。
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Research Products
(5 results)