2006 Fiscal Year Annual Research Report
変形した不安定核におけるソフトな集団励起状態の微視的理論に基づく研究
Project/Area Number |
06J02669
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 賢市 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 不安定核 / 中性子過剰核 / 中性子スキン / 集団励起モード |
Research Abstract |
理化学研究所などで進められている次世代不安定核ビーム実験施設の稼動によって、中性子過剰核の実験的研究は軽い領域から、中間質量・重い領域へと拡がる。また、核分光により励起スペクトルに対するデータも得られるようになると期待されている。この状況に鑑み、連続状態との結合を陽に考慮に入れた静的及び動的平均場理論の構築とその有効な解法の開発が本研究の大きな目標である。中重質量の不安定核における低励起集団モードの記述には、連続状態との結合・対相関・原子核の変形の三要素を考慮に入れることが重要なポイントである。先行する研究では、特に変形に関する取り扱いが遅れており、本研究では変形した中性子過剰核における特徴的な低励起モードの記述に重点を置いた。中性子過剰領域から中性子ドリップ線領域にあるMg同位体は、最近の実験や他の理論計算によると変形していると考えられている不安定核である。上の三要素を考慮に入れて世界に先駆けて構築した計算コードを用いて、今年度はまず、Mg同位体における低励起振動モードの性質を調べた。その結果、フェルミ面近傍にある準粒子波動関数が空間的に広がっていることを反映して遷移強度が大きくなる点、動的な対相関が集団性を生むのに本質的な役割を果たしている点を明らかにした。この振動モードは、中性子過剰核に特有な中性子スキンの四重極振動とペア場の揺らぎモードが結合して現れた、変形した中性子過剰核におけるユニークな励起モードであると考えることが出来る。さらに、中性子ドリップ線近傍を含め、一般の変形した中性子過剰核におけるソフト振動モードが出現する可能性とその微視的メカニズムを研究した。特に、ペア場の変形に伴う四重極対振動の役割の重要性を明らかにした。
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Research Products
(2 results)