2007 Fiscal Year Annual Research Report
時間依存する平均場理論に基づく原子核の変形共存現象の微視的記述
Project/Area Number |
06J02670
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日野原 伸生 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子核物理学 / 原子核構造 / 変形共存現象 / 量子多体理論 / 平均場理論 / 大振幅集団運動 |
Research Abstract |
1.大振幅集団運動理論の微視的理論であるAdiabatic Self-consistent Collective Coordinate(ASCC)法を用いて、変形共存原子核の低励起状態の量子スペクトルを初めて求め、量子状態での変形の混合を議論した。前年度に構築したゲージ不変なASCC法、および、quadrupole型のpairing相互作用を含むpairing+quadrupole模型を用いてオブレートープロレート変形共存核の68Seおよび72Kr、非軸対称原子核の64Ge,オブレート-プロレート-球形の変形共存核80Zrの低励起状態を記述する一次元の集団経路・集団Hamiltonianを導出した。これを量子化することで、低励起状態のエネルギーや集団波動関数を求め、E2遷移確率やspectroscopic quadrupole momentの計算を行った。計算は角運動量が0から6の状態まで行い、68Se,72Krいずれにおいてもオブレート変形およびプロレート変形に対応する強いE2遷移で結ばれた二つの回転バンドを求めることに成功した。また、quadrupole型のpairing相互作用が励起状態に与える寄与についても分析した。quadrupole pairingを有効相互作用に加えることで、平均場のtime-odd項が慣性質量項に寄与し、集団質量および慣性モーメントが増大するが、その結果、励起エネルギーが下がり、より実験値に近づくことを示した。 2.二次元の集団座標で大振幅集団運動を記述するための第一歩として、ASCC法の新しい解法を提案した。この解法では集団経路は拘束付Hartree-Fock-Bogoliubov方程式によって与えられるとするが、その上で局所的にASCC法の方程式を解くことによって、集団質量を求めることができるため、集団座標を多次元に容易に拡張することができる。まずはこの方法でmulti-0(4)模型の1次元の集団座標で記述される系を数値的に解き、これまでの解法とほぼ一致することを確認した。
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