2007 Fiscal Year Annual Research Report
高赤方偏移ライマンアルファ輝線天体の起源解明を目指して
Project/Area Number |
06J02679
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 正和 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 階層的構造形成 / ライマンアルファ / 光度関数 / 宇宙再電離 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、標準的な階層的構造形成の枠組みにおいて、ライマンアルファ輝線天体(LAE)の理論モデルを構築した。我々のLAE理論モデルは、観測的示唆・理論的予測に基づく現実的なLya離脱率を導入した世界初のモデルであり、赤方偏移3〜6にあるLAEのLya光度関数を非常によく再現することが示された。また、宇宙再電離が未完了であると観測的に示唆されている赤方偏移6を超える時代のLAEのLya光度関数との比較を行った結果、これまで得られている観測的示唆と定性的に一致する結果が得られた。これらの結果は論文にまとめ、Astrophysical Jounal誌に受理され、非常に高い評価を得ることができた。 さらに引き続き、我々のLAE理論モデルと、LAEの他の観測量(静止系紫外線光度関数、Lya等価幅分布、静止系紫外線光度とLya等価幅関係)との比較を行った。その結果、フリーパラメータが一つもないにもかかわらず、我々のLAE理論モデルはこれらの観測量を非常によく再現できることが分かった。特に、Lya等価幅分布においては、静止系で240AÅを越えるLya等価幅を持つLAEの割合も自然に再現され、他の研究から示唆されているような太陽近傍と異なる初期質量関数や、重元素を全く含まない星を考慮しなくとも、現実的なLya離脱率を導入することで観測結果が説明できることを世界で初めて示すことができた。これらの結果を論文にまとめている。
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