2006 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解非線形分光法によるタンパク質間相互作用ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
06J02688
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 圭一 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 過渡回折格子法 / センサリーロドプシンII / トランスデューサー / 拡散定数変化 / HAMPドメイン / タコロドプシン |
Research Abstract |
D75N Sensory rhodopsin II変異体とトランスデューサータンパク質との複合タンパク質の大腸菌を用いた発現を行うため、培養システムとタンパク質精製系の新たな構築を行い、実際に培地に対して10mg/L以上の非常に高い収率でタンパク質が得ることに成功した。得られたタンパク質を溶液中に界面活性剤を用いて可溶化し、過渡回折格子測定を行ったところ、光反応途中における体積変化を測定し、これまで知られていなかった反応中間体の観測に成功した。またこのタンパク質複合体では光反応の途中において大きな過渡的な拡散定数変化があることがわかり、始状態と中間状態でおおよそ2倍の拡散定数の変化があることを明らかにした。さらに濃度変化などの実験からこの拡散定数変化はトランスデューサータンパク質の膜貫通領域のC末端側に位置するHAMPドメインの二次構造変化によるものであると明らかにし、Sensory rhodoposin IIとトランスデューサータンパク質の細胞内信号伝達過程において生理学的に重要だと思われる構造変化を初めて時間変化で測定した。また別のロドプシンタンパク質として無脊椎動物のロドプシンの典型例であるタコロドプシンの光反応を調べた。特に活性化状態から始状態への戻り反応ダイナミクスを過渡吸収・過渡回折格子法の二つの分光法を用いて研究し、これまで知られていなかった二つの中間体の存在を明らかにした。これによると順反応に置いて変化したタコロドプシンの吸収スペクトルは、戻り反応において200ns以下の時間領域でもさらに戻り反応においてほぼ元のものに戻っており、タンパク質の構造変化が非常に早い時間スケールで緩和していることが明らかになった。また順反応で減少した拡散定数が逆に元の始状態のものに1ミリ秒以下の時間スケールで元に戻ることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)