2006 Fiscal Year Annual Research Report
軸不斉を有する新規有機触媒の分子デザインと不斉反応への応用
Project/Area Number |
06J02692
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田仲 洋平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機触媒 / オキシマイケル付加 / α,β-不飽和アルデヒド |
Research Abstract |
有機触媒は、一般に温和な条件下で反応が可能なことや、実験操作及び触媒の分離、回収が簡便なことから、環境調和型の反応プロセスとなる可能性を秘めている。さらには、従来の光学活性金属錯体に匹敵する選択性を発現する光学活性な有機触媒が、様々な有機合成反応へ応用される等、非常に活発に研究が行われている分野である。その中でも特にプロリンのような含窒素5員環化合物を有機触媒として用いる不斉合成の進歩には目を見張るものがある。しかし、これらの含窒素5員環化合物のほとんどが天然のアミノ酸誘導体であり、更なる修飾によって反応に応じた不斉環境を構築するには限界がある。そこで本研究では、修飾が容易なビナフチル骨格を基本骨格とし、多様な不斉環境の構築が可能な有機触媒の開発と様々な不斉反応への応用を行うことを目的とし、今年度は以下のような研究に従事した。 アルコールのα,β-不飽和カルボニル化合物へのオキシマイケル付加反応は、β-ヒドロキシカルボニル化合物およびそのアルコキシ類縁体を直接合成するのに極めて有用な有機合成プロセスである。これまでにアルコールのα,β-不飽和ケトンおよびα,β-不飽和エステルへのオキシマイケル付加反応は数例報告されているものの、アルコールのα,β-不飽和アルデヒドへの1,4-選択的付加反応は、アセタール形成が競合して起こりうるという反応制御の困難さからいまだ報告例がない。これに対して、2,2'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルから誘導される有機分子触媒が、アルコールのα,β-不飽和アルデヒドへのオキシマイケル付加反応を、アセタールを形成することなく円滑に進行させることを見出した。さらに、光学活性な2,2'-ジアミノ-1,1'-ビナフチルから誘導した有機分子触媒をデザイン、合成し、同様の反応に適用することで、エナンチオ選択的にβ-アルコキシアルデヒドを得ることにも成功した。
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Research Products
(2 results)