2007 Fiscal Year Annual Research Report
軸不斉を有する新規光学活性有機触媒の分子デザインと不斉反応への応用
Project/Area Number |
06J02692
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田仲 洋平 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機分子触媒 / オキシマイケル付加 / Diels-Alder反応 / α,β-不飽和アルデヒド |
Research Abstract |
有機分子触媒は、一般に温和な条件下で反応が可能なことや、実験操作及び触媒の分離、回収が簡便なことから、環境調和型の反応プロセスとなる可能性を秘めている。さらには、従来の光学活性金属錯体に匹敵する選択性を発現する光学活性な有機分子触媒が、様々な有機合成反応へ応用される等、非常に活発に研究が行われている分野である。その中でも特にプロリンのような含窒素5員環化合物を有機分子触媒として用いる不斉合成の進歩には目を見張るものがある。しかし、これらの含窒素5員環化合物のほとんどが天然のアミノ酸誘導体であり、更なる修飾によって反応に応じた不斉環境を構築するには限界がある。そこで本研究では、修飾が容易なビナフチル骨格を基本骨格とし、多様な不斉環境の構築が可能な有機分子触媒の開発と様々な不斉反応への応用を行うことを目的とし、今年度は以下のような研究に従事した。 まず、前年度に引き続き、アルコールのα,β-不飽和アルデヒドへの共役付加反応の開発に従事した。本反応系は、アセタール形成が競合して起こりうるという反応制御の困難さからこれまで報告例がない。これに対して、光学活性なビナフチルジアミンから誘導される有機分子触媒を用いることで、アセタール形成を起こさず、エナンチオ選択的に目的のオキシマイケル付加反応が進行することを見出した。また、本反応系における基質の適用範囲の検討も同時に行った。 続いて、有機分子触媒を用いた反応系における基質適用範囲の拡大を志向して、Diels-Alder反応をモデル反応とし、α位に置換基を有するα,β-不飽和アルデヒドの利用を検討した。光学活性なビナフチルジアミンから誘導される触媒及び反応条件の最適化を行った結果、全て炭素で置換された不斉4級炭素を有する環化付加体が高立体選択的に得られることを見出した。
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Research Products
(4 results)