2006 Fiscal Year Annual Research Report
環拡張ポルフィリンを基盤とする機能性金属錯体の開拓
Project/Area Number |
06J02695
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 重樹 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポルフィリン |
Research Abstract |
ピロールユニットが5つ以上からなる環拡張ポルフィリンにおいて、ピロール数が6つのヘキサフィリンの金属イオンとの錯化挙動について研究を行つた。10族金属イオンとの反応では主として単核錯体が得られ、X線結晶構造解析により1箇所金属-炭素結合を形成していることを見いだしている。金(III)イオンとの反応においては単核錯体、二核錯体が生成し、金イオンがそれぞれ二箇所、金-炭素結合を有する平面構造であることを明らかとしている。金錯体は還元剤によりヘキサフィリンのみを還元することができ、反芳香族性を示す極めて珍しい例であることも見いだしている。 12族金属イオンとの錯化を検討したところ。亜鉛(II)イオン、カドミウム(II)イオンとの錯化においては二核錯体のみが生成し、銅(II)二核錯体と同様な、メゾ位に酸素原子が1つ付加した折れ曲がつた構造であることを構造解析により明らかにした。水銀(II)塩を作用させると単核錯体、二核錯体が得られ、どちらも芳香族性を維持していることがわかった。二核錯体の構造解析の結果、各水銀二価イオンは一カ所、金属-炭素結合を生成していることを見いだした。単核錯体は各種スペクトルより、溶媒のメタノールがメトキシ基として取り込まれていることがわかった。 金単核錯体を出発としてヘテロ二核錯体の合成を検討し、リガンドとしてフリーベース体とは異なる挙動を示すことがわかってきている。金二核錯体を出発として選択的な環外周部の修飾を検討した。種々条件検討の結果、環外周部のすべてのベータ位の臭素化、引き続いて置換基の導入に成功した。現在、非線形光学特性を調査中である。 メゾ位臭素化ポルフィリンとアルキンとのパラジウム触媒による反応において、メゾ位に加えてベータ位でも結合を形成した、シクロペンタジエンが縮環したようなポルフィリンが得られ、結晶構造解析により明らかにした。
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Research Products
(2 results)