2007 Fiscal Year Annual Research Report
環拡張ポルフィリンを基盤とする機能性金属錯体化学の開拓
Project/Area Number |
06J02695
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 重樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン / 環拡張ポルフィリン / 金属錯体 / 芳香族性 |
Research Abstract |
ピロールユニットが5つ以上からなるメゾアリール置換型環拡張ポルフィリンのうち、ピロール数が5つのペンタフィリン、6つのヘキサフィリンについて金属イオンとの錯化挙動の検討を行った。ヘキサフィリンは26,28π系の2種類が安定に存在する。ヘキサフィリンでは金(III)イオンとの反応においては単核錯体、二核錯体が生成し、金イオンがそれぞれ二箇所、金-炭素結合を有する平面構造であることを明らかとしている。金錯体は還元剤によりヘキサフィリンのみを還元することができ、反芳香族性を示す極めて珍しい例であることも見いだしている。金二核錯体を出発として選択的な環外周部の修飾を検討した。種々条件検討の結果、環外周部のすべてのベータ位の臭素化、続くクロスカップリング反応によりフェニル基、フェニルエチニル基の導入に成功した。フェニルエチニル置換体では二光子吸収特性が高められていることを明らかとした。またそれぞれの反芳香族性錯体とくらべて芳香族性錯体が5倍程度の二光子吸収断面積を持つことを見いだした。 10族金属イオンとの反応では主として単核錯体が得られ、X線構造解析により1箇所金属-炭素結合を形成していることを見いだしている。これらの錯体を再精査したところ、これまで合成が非常に困難であったメビウストポロジーをもつ化合物であり明確な芳香族性を示す初めての例であることを明らかとした。 ペンタフィリンは一箇所窒素部位が縮環した構造で得られてくることを見いだしている。N縮環ペンタフィリンは22,24π系の2種類が安定に存在する。またこのN縮環ペンタフィリンにジカルボニルロジウム(I)イオンを作用させると、それぞれ22,24π系のロジウム錯体が得られてくることを見いだしている。この錯体を精査し二光子吸収断面積の比較、理論計算によって24π系ロジウム錯体が明確なメビウス芳香族性を有していることを明らかとした。
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Research Products
(4 results)