2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02733
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 智仁 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 血小板 / インテグリン / RhoA / アクチン重合 / formin / Daam1 / mDial / アフィニティ法 |
Research Abstract |
血小板の活性化に応じた凝集反応において必要不可欠なintegrin活性化と、それに引き続くRhoA依存的な動的なアクチン細胞骨格の再構成を担う分子機構を探求するために、申請者がaffinity法で同定したRhoAエフェクター分子、Daam1とmDia1の生化学的解析をこの1年間中心的に行った。mDia1とDaam1はともに低分子量Gタンパク結合ドメインと、actin重合活性を持つとされるFH1-FH2ドメインを持ち、血小板内でもRhoAの活性化に応じてactinを重合する働きがあることが示唆された。 申請者は、in vitroで蛍光actinを用いてDaam1及びmDia1がactin重合核形成活性、伸長活性を示すこと、RhoAによる部分的な活性化が見られることを確認した。さらに、申請者は、蛍光actinを用いた従来のアッセイ系は、単量体アクチン結合タンパク等、様々なactin修飾因子を含む細胞質中におけるactinの動態を必ずしも反映していないと考えた。すなわち、細胞質中ではG-actinとF-actinが平衡に達しているのに対し、従来のアッセイ系では非平衡状態から平衡状態への遷移速度の変化を観察している点、また、細胞質中ではADP型actinは重合できないのに対し蛍光actinの系ではATP型でもADP型でも同様に重合可能である点などで細胞内でのactin動態とアッセイ系の間に相違があり、細胞内での動的なactin再構成を研究する上で新しい系の開発が必要とされた。そこで、申請者は、固相化したDaam1やmDia1の活性ドメインを用いて、細胞質中よりactinを重合し、重合したactinの量を定量する系を開発した。また、Daam1のactin重合活性がmDia1など他のactin重合因子に比して著しく低いことに着目し、細胞質中にDaam1のactin重合活性を補助する因子があることを仮定した。そこで、Daam1タンパクに結合する細胞質タンパク質をアフィニティ法で単離した。このタンパク質はactinと相互作用することが一次構造より推測され、現在検討中である。また、東京工業大学の濡木研究室と協力してDaam1のFH2ドメイン(actin重合核形成活性を有するドメイン)の結晶構造を明らかにし、その解析を行った。これは、多細胞生物のforminファミリーのFH2ドメインの構造として、全体像が解かれた初めての例である。今後は、上記細胞質タンパク質がDaam1のactin重合活性に対して与える影響を解析するとともに血小板でのDaam1、mDia1のloss-of-function実験にも取り組む予定である。
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Research Products
(1 results)