2007 Fiscal Year Annual Research Report
計算力学に基づく臓器剥離の力覚提示を可能とするネットワーク型VRシミュレータ構築
Project/Area Number |
06J02735
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
粂 直人 Kyoto University, 医学研究科, 助教
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Keywords | VR手術シミュレータ / 技能伝達 / 力覚提示 / 剥離 / 投機計算 / 並列化 / PCクラスタ |
Research Abstract |
現在、手術手技の訓練に用いられてきた模型、献体、動物などを、コンピュータシミュレーションで代替する動きが盛んになりつつある。バーチャルリアリティ(以下、VR)により、不可逆な現象を何度でも繰り返し反復練習できることが、訓練の質と量の向上に貢献すると期待されている。しかし、訓練には操作の感覚を教えることが必要であるが、切開、剥離、穿刺といった侵襲的手技を表現できるVR訓練シミュレータはみあたらない。本研究では、剥離を対象とした侵襲的手技の感覚をシミュレートできる臓器モデルの開発を行い、操作感を飛躍的に向上させることを目的としている。軟組織を破壊するときの力感をリアルに表現するために物理シミュレーションを行うことを考えたが、現行のコンピュータでは圧倒的に計算速度が足りない。そこで、個々のコンピュータにそれぞれ次に起こる破壊現象をあらかじめ計算させ、必要になったときにユーザに提示するという、アプリケーションレベルの投機実行手法を提案し実装を進めてきた。個々のシミュレーションの並列化と、複数台のPCを用いた投機実行を適度に組み合わせることで物理シミュレーション部の応答を高速化できることがわかった。 また本研究では、手技の表現力を上げるだけでなく、手術のシナリオに応じた判断を教えることが必要であると考えた。触診のシナリオを元に、あらかじめ泌尿器科の医師3名が教示すべき要点をVRシミュレータ中に記録し、後で医学部生にVRシミュレータ上で触診を教示する、という実験を行った。動作をまねするだけのグループよりも、力の使い方など目に見えない操作を要点として教示したグループの方が、理解が早く、また、一度学習した要点を忘れにくい傾向にあることもわかった。本研究を通じた、技能の伝達とVRシミュレーションの質の向上により、実践的なVRシミュレータの開発に貢献できたと考える。
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Research Products
(10 results)