2006 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的分子内不斉アミノ化反応を基盤とするアルカロイド類の短段階全合成
Project/Area Number |
06J02745
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾形 篤太郎 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 不斉反応 / ヒドロアミノ化 / 全合成 / アルカロイド / リチウムアミド |
Research Abstract |
電子求引基により活性化されたオレフィンを用いるリチウムアミドの優れた不付加反応は多数報告されているものの、活性化されていないオレフィンへのリチウムアミドの不斉アミノ化は未開拓の領域であり、本反応の開発は有機合成化学上挑戦的な課題の一つである。 二級アミノオレフィンの分子内不斉ヒドロアミノ化において、キラルなビスオキサゾリン配位子をリチウムアミドにキレートさせる事で、リチウムアミドのオレフィンへの分子内付加の段階を不斉化し、触媒的不斉ヒドロアミノ化を実現した。速度論支配のもと、エキソ選択的に分子内付加が進行し、室温では定量的に環化体が得られた。また、外部プロトン源としてジイソプロピルアミンを添加剤として加えると、低温でもプロトン化は円滑に進行し、環化体を定量的に与えた。さらに、配位子検討により、環化体の不斉収率は最高91%eeまで向上した。触媒量の低減に伴う収率や立体選択性の低下は観られず、またキラル配位子は定量的に回収可能である。 テトラヒドロイソキノリン骨格は天然物の代表的な骨格の一つであり、その中には薬理活性を有する化合物も多数存在する。この骨格構築法としては、Bischler-Napieralski反応やPictet-Spengler反応が古くから知られているが、不斉点の導入には何れも多工程を必要とする。不斉ヒドロアミノ化反応は骨格構築と同時に不斉点を構築出来る非常に効率的な方法であるが、未だその報告例はない。そこで、開発した本不斉触媒反応の応用例として、S-Laudanosineの不斉全合成を行った。市販品より5段階、60%収率で合成した二級アミノオレフィンを用いて触媒的不斉ヒドロアミノ化を行い、環化体のLaudanosineを96%収率、76%eeで与えた。さらにこれを再結晶することで、S-Laudanosineの不斉全合成を達成し、本反応の有用性が示された。
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