2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を利用した新規複素環合成法の開発とその生物活性化合物合成への展開
Project/Area Number |
06J02748
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 祐輔 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 遷移金属触媒 / ラクタム / 活性化 / アルカロイド |
Research Abstract |
通常は活性化することが困難である結合を遷移金属触媒により活性化し、新たな結合を形成することができれば、従来にはない非常に効率的な合成手法が可能となる。しかし、このような反応は報告例が少ないが非常に興味深い分野である。特に今回著者は炭素-炭素結合を遷移金属触媒により活性化し、炭素-炭素不飽和結合へ付加させる反応は、副生成物をまったく伴わずに一挙に2つの炭素-炭素結合を形成することができる非常に優れた反応であると考え、研究に着手した。その結果、シアノギ酸アミドの炭素-炭素結合をパラジウム触媒により活性化し、分子内のアルキンと反応させることで四置換α、α-アルキリデン-γ-ラクタムを立体選択的に合成できることを明らかにした。本反応は、基質の適用範囲が広く、応用性に優れており、アミノ酸由来の光学活性なラクタム環や四、六、七員環の多置換ラクタム合成にも適用できることを見出した。パラジウム触媒を用いた分子内シアノアミド化反応は、さらに1,1-二置換アルケン類にも適用することができ、四級炭素とシアノ基を有するラクタム環やオキシインドール環を収率良く合成できることを見出した。また、反応により得られた生成物は短工程でピロロインドールアルカロイド類へ導くことができ、本手法がそれらの誘導体合成の有効な手段であることを示せた。さらに、他の不飽和シアノギ酸アミド類への本反応の適用によりシアノアミド化反応の反応機構について重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)