2006 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo RNA干渉の効率的誘導に基づく新規癌治療法の開発
Project/Area Number |
06J02759
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNA干渉 / In vivo / 癌遺伝子治療 |
Research Abstract |
癌細胞の肝転移過程において、肝臓構成細胞での遺伝子発現変動が癌細胞増殖に及ぼす影響について検討した。標的遺伝子としてmatrix metalloproteinase-9(MMP-9)を選択し、これに対するshort hairpin RNA発現plasmid DNA(pshMMP-9)を構築した。マウスへの投与には、大容量の水溶液を尾静脈より急速に静脈内投与するハイドロダイナミクス法を用いた。pshMMP-9を予め投与したマウス門脈内にマウス結腸癌細胞を注入したところ、癌細胞の肝転移により亢進する肝臓中MMP-9活性が抑制された。また、癌細胞増殖も対照群と比較して有意に抑制可能であった。一般に癌細胞においては遺伝子の変異が生じやすいため、遺伝子の変異による耐性の獲得がしばしばがん治療における大きな問題の一つとなっている。一方、正常細胞は癌細胞と比較して遺伝子の変異を生じにくい。本研究の成果により、正常細胞を標的としてMMP-9発現を抑制することで耐性の生じにくい新規癌分子標的治療が可能になるものと考えられる。 MMP-9の発現は種々の因子により制御されていることが知られているが、本研究においては転写因子hypoxia-inducible factor-1(HIF-1)に着目した。HIF-1は恒常的に発現しているHIF-1bと低酸素状態において発現が上昇するHIF-1aの2つのサブユニットからなる転写因子である。癌転移過程におけるHIF-1aの発現変動を調べることを目的として肝転移モデルマウスの肝臓を採取し、HIF-1aの免疫染色を行なったところ、肝臓構成細胞におけるHIF-1aの発現上昇が観察された。
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Research Products
(1 results)