2006 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニック結晶構造をもつ有機EL素子に関する研究
Project/Area Number |
06J02776
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石原 邦亮 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フォトニック結晶 / 有機EL / ナノインプリント / Spin-on-Glass |
Research Abstract |
本年度の研究では,「フォトニック結晶構造をもつ有機EL素子」の作製手法を確立するため,1.ガラス基板上へのフォトニック結晶形成プロセスの確立,2.フォトニック結晶形成ガラス基板を用いた有機EL素子の作製を行った. 1.ガラス基板表面への大面積フォトニック結晶パターンの速やかな作製を目的として,SOG(Spin-on-Glass)材料へのナノインプリント法を検討した.SOG材料の中でもインプリントに適した材料の選定から始め,ガラス基板への均一な成膜,インプリントによる微細パターンの形成,焼成によるSOG材料のガラス化プロセスといった各工程で発生した問題点を解決した.その結果,周期300nmのフォトニック結晶パターンを3nm角に渡り均一に形成することに成功した. 2.フォトニック結晶を形成したガラス基板を用いて有機EL素子の作製を行った.フォトニック結晶の導入により有機EL素子を構成する透明陽極・有機層・金属陰極の各薄膜は周期的な空間変調を受ける.その結果,電子と正孔の注入バランスが崩れてリーク電流が増大し,良好な発光が阻害された.そこで,フォトニック結晶の基本構成として正方格子,円孔格子点は固定し,格子点の高さ,半径,側壁角度をパラメータとして検討を行った.内部電界の数値計算や成膜形状の乱数シミュレーションによる予測を通じて,パラメータの中でも側壁角度が内部静電界に与える寄与が大きく,その角度もSOG上に成膜する透明陽極の形状に基づいて設計する必要があることを明らかにした.この知見を実験に反映するため,ナノインプリントを介してSOGに形成するフォトニック結晶の形状を制御できるようプロセスを改良した.以上の検討の結果,初期では垂直であった円孔側壁に30°の傾斜を与えることで,結晶非導入の素子と比較してほぼ同等の電流電圧特性をもち,1.3倍の輝度向上,2.5倍のピーク強度を示すフォトニック結晶有機EL素子の作製に成功した.
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Research Products
(1 results)