2006 Fiscal Year Annual Research Report
永久電流モード待機機能を有する瞬時電圧低下補償高温超伝導コイルシステムの研究開発
Project/Area Number |
06J02788
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東川 甲平 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | SMES / 高温超伝導 / 最適設計 / 有限要素法 / 遺伝アルゴリズム / 疎巻法 / 固体窒素 / ネオン |
Research Abstract |
近年ニーズの高まる瞬時電圧低下対策として実用化の始まっている超伝導磁気エネルギー貯蔵(SMES)システムに関して,以下に述べる成果により高温超伝導化・高機能化の可能性を示した。 1.エネルギー貯蔵部である高温超伝導コイルに関して,酸化物高温超伝導材料特有の特性(磁気異方性)を特に考慮して遺伝アルゴリズムならびに有限要素法を用いて最適設計を行った結果,トロイダル型のコイル構成を採用することが使用線材長最小化ならびに漏洩磁界低減の観点から有効であることを示した。また,高温超伝導化が実現すれば従来の低温超伝導SMESシステムに比較して運転温度を高くできる(4K→20K)だけではなく高エネルギー密度化(10T超の磁界に対応)も実現できる見通しを示した。 2.上記高エネルギー密度化は,高温超伝導線材では電磁的に高磁界中大電流通電が可能であることから実現するものであるが,この際には同線材に非常に大きな機械的応力(1GPa程度)が加わるため,それに関する実現性を議論した。そして,高強度の基板を有する次世代高温超伝導薄膜線材の有効性を示すと共に,新たな応力低減手法を考案したことで,既に商用化されているビスマス系高温超伝導線材に関しても上記高エネルギー密度システムへの適用可能性を示すことになった。 3.高温超伝導化による最も大きなメリットは運転温度高温化による冷却負荷低減であるが,さらに保冷機能・廃熱機能・機械的補強機能を付加できることで以前より提案している固体窒素-微量液体ネオンハイブリッド冷媒に関して,その冷却特性のメカニズム解明ならびにネオン導入量の最適化に取り組んだ。マスフローメータを用いるなど冷媒導入量の定量評価を可能とする実験システムを構築して上記冷媒の冷却特性を評価した結果,ネオンは液体状態として存在するだけでよく,上記優れた冷却特性はヒートパイプによる効果であることが示唆された。また,特に保冷機能が重視される応用に向けて,ネオンも固体状態で用いる固体窒素-微量固体ネオンハイブリッド冷媒を提案した。
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