2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J02805
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 和宏 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 錐体視物質 / color-tuning / QM / MM / SAC-CI |
Research Abstract |
色覚を担う錐体視物質の実験的データは桿体視物質と比べて驚くほど少なく、X線構造も解明されていない。そこで、色覚に潜むColor tuning機構の解明には、信頼性の高い構造を求めることが最初の課題となる。申請者は、Homology Modelと呼ばれるタンパク質のモデル化と統計的手法のPoisson-Boltzmann方程式、そしてQM/MM法(量子力学と分子力学のハイブリッド法)によるタンパク質全体の構造最適化から、タンパク質の構造赤(HR)・緑(HG)・青(HB)の問題を克服した。これらの構造を用いたSAC-CI法による励起エネルギーは、RMS誤差0.06eVで実験値を再現(HB;2.94,HG;2.32,HR;2.08eV)することに成功した。また、変異体実験における励起エネルギーの変化も精度よく再現したことも、我々の理論構造の信憑性を裏付けることとなった。この結果に基づいて、Rhに対するHB、HG、HRのColor tuning機構の起源を探ったところ、HBではレチナールの構造の違いやオプシンからの静電相互作用が主に寄与し、HGとHRではオプシンからの静電相互作用の影響が大きく寄与することが分かった。この静電相互作用の違いはESP(オプシンがレチナール・鎖に与える静電ポテンシャル)の違いに起因することが分かった。さらに、静電エネルギーの分割法を用いた詳細な解析の結果、HB、HG、HR、RhのColor tuning機構には、特定の11種類のアミノ酸が重要な役割を担っていることを発見した。
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Research Products
(3 results)