2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒を利用したアルキル化を伴う新規環化反応の開発
Project/Area Number |
06J02807
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 雅彦 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ロジウム / 1,6-エンイン / β酸素脱離 / グリニャール / ジエン配位子 / アリルエーテル |
Research Abstract |
本研究の目的である多様な環状化合物の効率的な合成法の開発を目指し、まずアルキル基としてメチル基を導入する環化反応について検討を行った。その結果、触媒量の1価ロジウム錯体とメチルグリニャール反応剤を用いることで、アリルエーテル部位を有する1,6-エンイン誘導体に対して、位置および立体選択的にメチル基を導入し、さらに環状化合物へと変換することに成功した。反応系中で発生すると考えられるメチルロジウム種が反応基質のアルキン部位へ付加し、生成したアルケニルロジウム種がさらに分子内のアルケン部位に対して付加した後、β酸素脱離により生成物が得られると同時に触媒活性種である1価ロジウム錯体が再生すると考えられる。触媒としてはジエン配位子を有するロジウム錯体が有効であり、1,5-シクロオクタジエン錯体で良好な結果が得られた。それに対して、ボスフィン錯体では反応性の低下が見られ、ロジウム錯体が存在しない場合には反応基質が回収された。有機金属反応剤としてリチウム、ホウ素、アルミニウム、亜鉛についても検討を行ったが、マグネシウム試剤が最も効率よく目的の環化体を与えた。1,6-エンイン基質のアルキン末端部位の置換基としてはアルキル基、フェニル基、およびトリメチルシリル基いずれの場合にも目的の環化体が得られた。メチル基以外のアルキル基の導入についてはブチル、イソプロピル基などで検討を行ったが、目的の生成物を得ることは出来なかった。一方でベンジル基については良好に反応が進行することが明らかになった。 ロジウム錯体を用いて分子間反応によりsp^3混成炭素基を不飽和結合に対して導入することについてはこれまで報告例が極めて限られており、特に触媒的な方法はほとんど存在しなかった。その点においても本研究の成果は意義あるもの考えられる。
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Research Products
(2 results)