2006 Fiscal Year Annual Research Report
低分子ヒドロゲル化剤の戦略的創製を指向したゲル化特性の類型化と評価
Project/Area Number |
06J02825
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 真治 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超分子 / ヒドロゲル / ゲル / 低分子 / 糖 / 脂質 / レオロジー / スクリーニング |
Research Abstract |
本年度は、糖脂質型超分子ヒドロゲル化剤ライブラリーの拡張を行った。糖脂質型超分子分子は、糖ヘッド、スペーサー、コネクター、脂質テイルの四つのモジュールから構成される。糖ヘッド部位に関してはGalNAc, GlcNAc, Gal, Glu糖を、スペーサー部位には、コハク酸型やアジピン酸誘導体のほかに、二重結合を有するフマル酸やムコン酸型を導入した分子を設計し合成した。また、コネクター部位では、グルタミン酸やアジピン酸型を、脂質テイルに関しては、環状及び直鎖状飽和アルキル鎖を用いた。合成した分子群の水に対するゲル化試験を倒立法で調べた結果、十数種類の糖脂質型超分子ヒドロゲル化剤が見つかった。これらのうち、巨視的に「透明なゲル」と「白濁するゲル」に分別できた。モルフォロジー観察から透明なゲルは細く綿密なゲルファイバーネットワークを形成し、白濁するゲルに関しては、太く粗いゲルファイバーネットワーク形成が確認された。特に、透明なゲルを形成するゲル化剤分子骨格は、糖ヘッドがN-アセチル型糖、スペーサー部位はコハク酸またはフマル酸型、コネクター部位はグルタミン酸型、脂質テイル部位は環状飽和アルキル鎖を共通骨格としていることが分かった。 今後は、レオメーターを使った動的粘弾性測定から、これらの結果(透明ゲル、白濁ゲル)を定量的に評価し、ゲルの特性物性を反映する分子構因子の特定を進める。また、ゲル化しなかった分子群の構造とも評価しつつゲル形成に必要な分子構造因子の特定も進めていく予定である。 上記研究を遂行している際、興味深い結果も得られた。スペーサー部位がフマル酸型のゲル化剤分子のうち、透明なゲルを形成するゲル化剤に関しては、分解能に優れた光ゲルーゾル転移現象を示した。今後はこの機能を使った応用展開も進めていく予定である。
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